January 1, 2015 Vol. 372 No. 1
ギニア・コナクリにおけるエボラウイルス病患者の臨床所見
Clinical Presentation of Patients with Ebola Virus Disease in Conakry, Guinea
E.I. Bah and Others
2014 年 3 月,世界保健機関(WHO)は,ギニアの僻地における Zaire ebolavirus の集団感染の報告を受けた.この集団感染はその後首都コナクリ,近隣諸国へと広がり,エボラウイルス病(EVD)は過去最大の流行となった.
2014 年 3 月 25 日~4 月 26 日に,コナクリで EVD であることが検査により確定したすべての患者を対象として研究を行った.主要転帰は死亡率とした.副次的転帰は,患者背景,合併症,治療,生存例と非生存例との比較などとした.
症状を呈した 80 例のうち,検査による EVD 確定例は 37 例であった.確定例の年齢中央値は 38 歳(四分位範囲 28~46),24 例(65%)が男性,14 例(38%)が医療従事者であり,医療従事者の 12 例(32%)では院内感染が示唆された.EVD 確定例では,症状発現から受診までの期間の中央値は 5 日(四分位範囲 3~7)で,頻度の高かった症状は,発熱(患者の 84%,平均体温 38.6℃),倦怠感(65%),下痢(62%),頻拍(平均心拍数>93 回/分)であった.これらの患者のうち,28 例(76%)で静脈内輸液が行われ,37 例(100%)で抗菌薬の投与が行われた.16 例(43%)が死亡し,症状発現から死亡までの期間の中央値は 8 日(四分位範囲 7~11)であった.40 歳以上の患者では,40 歳未満の患者に対する死亡の相対リスクは 3.49(95%信頼区間 1.42~8.59,P=0.007)であった.
EVD 患者では,嘔吐および重度の下痢に伴う脱水の徴候が認められた.輸液,抗菌薬療法,限定的な検査の試みにもかかわらず,死亡率は 43%であった.