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February 5, 2015 Vol. 372 No. 6

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難治性狭心症における冠静脈洞径を縮小させるデバイスの有効性
Efficacy of a Device to Narrow the Coronary Sinus in Refractory Angina

S. Verheye and Others

背景

血行再建の適応とならない冠動脈疾患患者の多くは,標準薬物治療にもかかわらず難治性の狭心症を有する.冠静脈洞径を縮小させる砂時計型のバルーン拡張型ステンレス製デバイスは,限局的に狭い部分を作り,冠静脈洞内圧を上昇させて虚血心筋に再び血液を供給する.

方 法

カナダ心血管学会(CCS)分類(スケールは I~IV 度で,高いほど狭心症による身体活動の制限が大きいことを示す)で III 度または IV 度の狭心症と心筋虚血を有し,血行再建の適応とならない患者 104 例を,このデバイスを植え込む群(治療群)と偽処置を行う群(対照群)に無作為に割り付けた.主要評価項目は,6 ヵ月の時点で CCS 狭心症分類が 2 度以上改善した患者の割合とした.

結 果

6 ヵ月の時点で CCS 分類が 2 度以上改善したのは,治療群 35%(52 例中 18 例)に対し,対照群 15%(52 例中 8 例)であった(P=0.02).このデバイスは,治療群の 71%(52 例中 37 例)で CCS 分類の 1 度以上の改善にも関連したのに対し,対照群では 42%(52 例中 22 例)であった(P=0.003).シアトル狭心症質問票を用いて評価した QOL は,治療群では対照群と比較して有意に改善した(100 ポイントスケールでの改善 17.6 ポイント 対 7.6 ポイント,P=0.03).運動負荷時間や,ドブタミン負荷心エコー検査により評価した壁運動指数の変化の平均の改善には,群間で有意差は認められなかった.6 ヵ月の時点で,治療群では 1 例が心筋梗塞を発症していたのに対し,対照群では 1 例が死亡し,3 例が心筋梗塞を発症していた.

結 論

今回の小規模臨床試験では,血行再建の適応とならない難治性狭心症患者において,冠静脈洞径縮小デバイスの植込みは,症状と QOL の有意な改善に関連した.(Neovasc 社から研究助成を受けた.COSIRA 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01205893)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 372 : 519 - 27. )