October 22, 2015 Vol. 373 No. 17
進行非扁平上皮非小細胞肺癌に対するニボルマブとドセタキセルとの比較
Nivolumab versus Docetaxel in Advanced Nonsquamous Non–Small-Cell Lung Cancer
H. Borghaei and Others
完全ヒト型 IgG4 プログラム細胞死 1(PD-1)免疫チェックポイント阻害抗体であるニボルマブは,PD-1 を介するシグナル伝達を阻害することから,抗腫瘍免疫を回復させられる可能性がある.
多国非盲検無作為化第 3 相試験において,白金製剤を中心とした 2 剤併用化学療法中またはその終了後に病勢進行が認められた非扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)患者を,ニボルマブ 3 mg/kg 体重を 2 週ごとに投与する群と,ドセタキセル 75 mg/m2 体表面積を 3 週ごとに投与する群に割り付けた.主要評価項目は全生存とした.
全生存期間は,ニボルマブ群のほうがドセタキセル群よりも長かった.全生存期間中央値は,ニボルマブ群 292 例で 12.2 ヵ月(95%信頼区間 [CI] 9.7~15.0)であり,ドセタキセル群 290 例で 9.4 ヵ月(95% CI 8.1~10.7)であった(死亡のハザード比 0.73,96% CI 0.59~0.89,P=0.002).1 年の時点での全生存率は,ニボルマブ群 51%(95% CI 45~56)に対し,ドセタキセル群 39%(95% CI 33~45)であった.さらなる追跡により,18 ヵ月の時点での全生存率は,ニボルマブ群 39%(95% CI 34~45)に対し,ドセタキセル群 23%(95% CI 19~28)であった.奏効率はニボルマブ群 19%に対し,ドセタキセル群 12%であった(P=0.02).無増悪生存期間はニボルマブ群がドセタキセル群よりも良好であることは示されなかったが(中央値はそれぞれ 2.3 ヵ月と 4.2 ヵ月),1 年の時点での無増悪生存率は,ニボルマブ群のほうがドセタキセル群よりも高かった(それぞれ 19%と 8%).事前に規定した腫瘍細胞膜中の PD-1 リガンド発現量(1%以上,5%以上,10%以上)で分類したサブグループにおいても,ニボルマブは,すべての評価項目でドセタキセルよりも優れた有効性を示した.グレード 3 または 4 の治療関連有害事象は,ニボルマブ群では 10%で報告されたのに対し,ドセタキセル群では 54%で報告された.
白金製剤を中心とした化学療法中またはその終了後に病勢進行が認められた進行非扁平上皮 NSCLC 患者において,ニボルマブを投与した例での全生存期間は,ドセタキセルを投与した例よりも長かった.(Bristol-Myers Squibb 社から研究助成を受けた.CheckMate 057 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01673867)