The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

December 10, 2015 Vol. 373 No. 24

小児癌における素因遺伝子の生殖細胞系列変異
Germline Mutations in Predisposition Genes in Pediatric Cancer

J. Zhang and Others

背景

小児・思春期癌患者における素因遺伝子の変異の保有率とスペクトラムはほとんどわかっていない.そのような変異に関する情報は,腫瘍発生に関する理解を深め,患者のケアの方向性を決め,患者と家族に対する遺伝カウンセリングを有効にする可能性がある.

方 法

20 歳未満の癌患者 1,120 例を対象に,全ゲノム(595 例)または全エクソーム(456 例),あるいはその両方(69 例)の配列決定を行った.常染色体優性癌素因症候群と関連付けられている 60 遺伝子を含む,565 遺伝子の DNA 配列を生殖細胞系列変異について解析した.変異の病原性は,医療専門家の委員会が癌特異的・座位特異的な遺伝子データベース,医学文献,計算による予測,腫瘍ゲノムで同定されたセカンドヒットを用いて決定した.同じ手法を用いて,「1,000 人ゲノムプロジェクト」で既知の癌がない 966 例のデータを解析し,ほぼ同じ手法を用いて自閉症研究(自閉症者 515 例,非自閉症者 208 例)のデータを解析した.

結 果

病原性あり,またほぼ病原性ありとみなされた変異は,癌患者では 95 例(8.5%)で同定されたのに対して,1,000 人ゲノムプロジェクトでは 1.1%,自閉症研究では 0.6%であった.癌患者に高頻度に認められた変異遺伝子は,TP53(50 例),APC(6 例),BRCA2(6 例),NF1(4 例),PMS2(4 例),RB1(3 例),RUNX1(3 例)であった.また別の 18 例では,腫瘍抑制遺伝子に蛋白の短縮型変異が認められた.素因遺伝子変異が認められた患者で,家族歴に関する情報を入手しえた 58 例のうち 23 例(40%)に癌の家族歴があった.

結 論

癌素因遺伝子の生殖細胞系列変異は,小児・思春期癌患者の 8.5%で同定された.家族歴は,大半の患者の根底にある素因症候群の存在を予測しなかった.(米国・レバノン・シリア共同慈善基金,米国国立がん研究所から研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 2336 - 46. )