The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

August 20, 2015 Vol. 373 No. 8

誘因のない静脈血栓塞栓症における潜在癌のスクリーニング
Screening for Occult Cancer in Unprovoked Venous Thromboembolism

M. Carrier and Others

背景

静脈血栓塞栓症は癌のもっとも初期の徴候である可能性がある.現在,誘因のない静脈血栓塞栓症を発症した患者に対する潜在癌スクリーニングの内容は非常に多様である.われわれは,誘因のない静脈血栓塞栓症を初回発症した患者を対象に,腹部・骨盤部の包括的 CT 検査を含む潜在癌スクリーニング戦略の有効性を評価した.

方 法

カナダで多施設共同非盲検無作為化比較試験を行った.患者を,潜在癌の限定的スクリーニング(基本的な血液検査,胸部 X 線検査,乳癌・子宮頸癌・前立腺癌のスクリーニング)を行う群と,限定的スクリーニングに CT 検査を併用する群に無作為に割り付けた.主要評価項目は,スクリーニング戦略で見逃され,1 年間の追跡期間終了までに発見・確定診断された癌とした.

結 果

無作為化された 854 例のうち,無作為化から 1 年間の追跡期間終了までのあいだに,33 例(3.9%)で潜在癌が新たに診断された.内訳は限定的スクリーニング群 431 例中 14 例(3.2%),限定的スクリーニング+CT 群 423 例中 19 例(4.5%)であった(P=0.28).主要評価項目の解析では,見逃された潜在癌は,限定的スクリーニング戦略で 4 例(29%)であったのに対し,限定的スクリーニング+CT 戦略では 5 例(26%)であった(P=1.0).癌診断までの期間の中央値(限定的スクリーニング群 4.2 ヵ月,限定的スクリーニング+CT 群 4.0 ヵ月;P=0.88)と癌関連死亡率(1.4%,0.9%;P=0.75)に,群間で有意差は認められなかった.

結 論

誘因のない静脈血栓塞栓症を初回発症した患者における潜在癌の有病率は低かった.ルーチンのスクリーニングに腹部・骨盤部 CT 検査を併用しても,臨床的に有意な利益は得られなかった.(カナダ心臓・脳卒中財団から研究助成を受けた.SOME 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00773448)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2015; 373 : 697 - 704. )