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March 31, 2016 Vol. 374 No. 13

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難治性関節リウマチ患者に対するバリシチニブ
Baricitinib in Patients with Refractory Rheumatoid Arthritis

M.C. Genovese and Others

背景

経口ヤヌスキナーゼ(JAK)1・2 阻害薬であるバリシチニブ(baricitinib)は,複数の第 2 相試験で,生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)による治療歴がない関節リウマチ患者の疾患活動性を低下させた.

方 法

1 種類以上の腫瘍壊死因子阻害薬,他の生物学的 DMARD,またはその両方では十分な効果が得られなかったか,忍容できない副作用が発現した患者 527 例を対象とした第 3 相試験で,患者をバリシチニブ 2 mg/日群,4 mg/日群,プラセボ群に 1:1:1 の割合で無作為に割り付け,24 週間投与した.評価項目は,米国リウマチ学会基準による 20%改善(ACR20)(主要評価項目),健康評価質問票の機能障害指数(HAQ-DI)スコア,C 反応性蛋白値に基づく 28 関節疾患活動性スコア(DAS28-CRP),簡易疾患活動性指標(SDAI)スコア 3.3 以下(0.1~86.0 の尺度で,3.3 以下は寛解を示す)とし,第 1 種の過誤を制御するために 12 週の時点で階層的に検討した.プラセボとの比較は,最初にバリシチニブ 4 mg で行い,次いで 2 mg で行った.

結 果

バリシチニブ 4 mg 群では,プラセボ群と比較して 12 週の時点で ACR20 を認めた患者が有意に多かった(55% 対 27%,P<0.001).バリシチニブ 4 mg 群とプラセボ群との差は,HAQ-DI スコアと DAS28-CRP についても有意であったが,SDAI スコア 3.3 以下については有意ではなかった.24 週全体での有害事象の発現率はバリシチニブ 2 mg 群と 4 mg 群がプラセボ群よりも高く(71%と 77%に対し,64%),感染症がもっとも多かった(44%と 40%に対し,31%).重篤な有害事象の発現率はそれぞれ 4%,10%,7%であった.4 mg 群では非悪性黒色腫皮膚癌が 2 件,主要有害心血管イベントが 2 件発生し,うち 1 件は致死的脳卒中であった.バリシチニブは好中球数のわずかな減少,血清クレアチニンの上昇,低比重リポ蛋白コレステロールの上昇に関連した.

結 論

生物学的 DMARD では十分な効果が得られなかった関節リウマチ患者に対するバリシチニブ 4 mg/日投与は,12 週の時点での臨床的改善と関連した.(Eli Lilly 社,Incyte 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01721044)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 1243 - 52. )