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January 21, 2016 Vol. 374 No. 3

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下痢型過敏性腸症候群に対するエルクサドリン
Eluxadoline for Irritable Bowel Syndrome with Diarrhea

A.J. Lembo and Others

背景

下痢型過敏性腸症候群(IBS)の患者に対する有効かつ安全な治療法が必要とされている.下痢型 IBS 患者を対象に,μおよびκオピオイド受容体アゴニスト,δオピオイド受容体アンタゴニストの混合オピオイド作用を有する新規経口製剤であるエルクサドリン(eluxadoline)の有効性と安全性を評価するための 2 件の第 3 相試験を行った.

方 法

下痢型 IBS の成人 2,427 例を,エルクサドリン(75 mg または 100 mg)またはプラセボの,26 週間(IBS-3002 試験)または 52 週間(IBS-3001 試験)の 1 日 2 回投与に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,第 1 週から第 12 週,および第 1 週から第 26 週における日数の 50%以上で,腹痛の軽減,便の性状の改善の 2 つの効果が同じ日に確認された患者の割合とした.

結 果

第 1 週から第 12 週では,エルクサドリン群(75 mg および 100 mg)のほうが,プラセボ群よりも主要エンドポイントに達した患者の割合が高かった(IBS-3001 試験:75 mg 群 23.9%,100 mg 群 25.1%に対し,プラセボ群 17.1%;それぞれ P=0.01,P=0.004;IBS-3002 試験:それぞれ 28.9%,29.6%に対し,16.2%;両方の比較について P<0.001).第 1 週から第 26 週では,IBS-3001 試験におけるこれらの割合は 23.4%および 29.3%に対し 19.0%であり(それぞれ P=0.11,P<0.001),IBS-3002 試験におけるこれらの割合は 30.4%および 32.7%に対し 20.2%であった(それぞれ P=0.001,P<0.001).エルクサドリン 75 mg および 100 mg に関連する有害事象で,プラセボと比較して頻度が高かったのは,悪心(8.1%および 7.5%に対し5.1%),便秘(7.4%および 8.6%に対し 2.5%),腹痛(5.8%および 7.2%に対し 4.1%)であった.安全性解析対象集団の 1,666 例中 5 例(75 mg 群 2 例,100 mg 群 3 例)が膵炎を発症した(0.3%).

結 論

エルクサドリンは,男性および女性の下痢型 IBS の症状を軽減する新規治療薬であり,100 mg 1 日 2 回投与を受けた患者では効果が 6 ヵ月にわたり持続した.(Allergan 社の関連会社 Furiex Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.IBS-3001 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01553591,IBS-3002 試験:Clinical Trials.gov 登録番号 NCT01553747)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 242 - 53. )