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February 25, 2016 Vol. 374 No. 8

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早産児における酸素飽和度の目標値に関する 2 試験の結果
Outcomes of Two Trials of Oxygen-Saturation Targets in Preterm Infants

The BOOST-II Australia and United Kingdom Collaborative Groups

背景

早産児における酸素飽和度のもっとも安全な範囲は議論の的となっている.

方 法

オーストラリアと英国で行われた 2 件の試験において,在胎 28 週未満で出生した児を,酸素飽和度の目標範囲が低い(85~89%)群と,高い(91~95%)群に無作為に割り付けた.登録期間中に,酸素飽和度計は,較正アルゴリズムのアーチファクトを補正するために修正された.主要転帰は,修正在胎年齢 2 歳の時点での死亡または障害とし,オーストラリアの試験では酸素飽和度が試験用のすべての酸素飽和度計で測定された児を対象に,また英国の試験では修正された酸素飽和度計で測定された児を対象に評価が行われた.

結 果

オーストラリアでは 1,135 例を,英国では 973 例を試験に登録後,中間解析で修正在胎週数 36 週の時点での死亡率が高いことが示され,登録は中止された.死亡または障害は,オーストラリアの試験(すべての酸素飽和度計が対象)では,低目標値群では 549 例中 247 例(45.0%)で発生したのに対し,高目標値群では 545 例中 217 例(39.8%)で発生した(補正相対リスク 1.12,95%信頼区間 [CI] 0.98~1.27,P=0.10).英国の試験(改訂された酸素飽和度計のみが対象)では,低目標値群では 366 例中 185 例(50.5%)で発生したのに対し,高目標値群では 357 例中 164 例(45.9%)で発生した(補正相対リスク 1.10,95% CI 0.97~1.24,P=0.15).2 試験を合わせ,すべての酸素飽和度計を対象とした補正なしの事後解析では,死亡または障害は,低目標値群では 1,022 例中 492 例(48.1%)で発生したのに対し,高目標値群では 1,013 例中 437 例(43.1%)で発生し(相対リスク 1.11,95% CI 1.01~1.23,P=0.02),死亡は,低目標値群では 1,045 例中 222 例(21.2%)で発生したのに対し,高目標値群では 1,045 例中 185 例(17.7%)で発生した(相対リスク 1.20,95% CI 1.01~1.43,P=0.04).修正された酸素飽和度計を用いた群では,死亡または障害は,低目標値群では 580 例中 287 例(49.5%)で発生したのに対し,高目標値群では 563 例中 248 例(44.0%)で発生し(相対リスク 1.12,95% CI 0.99~1.27,P=0.07),死亡は,低目標値群では 587 例中 144 例(24.5%)で発生したのに対し,高目標値群では 586 例中 99 例(16.9%)で発生した(相対リスク 1.45,95% CI 1.16~1.82,P=0.001).

結 論

酸素飽和度の目標範囲を 85~89%にした場合,91~95%にした場合と比較して,いずれの試験でも 2 歳の時点での死亡率,障害発生率が有意差はないものの高かったが,2 試験を合わせた事後解析では,死亡または障害の複合リスクと,死亡のみのリスクが有意に高かった.(オーストラリア国立保健医療研究評議会ほかから研究助成を受けた.BOOST-II 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN00842661,Australian New Zealand Clinical Trials Registry 番号 ACTRN12605000055606)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 374 : 749 - 60. )