September 22, 2016 Vol. 375 No. 12
早産児の一次呼吸補助のための経鼻高流量酸素療法
Nasal High-Flow Therapy for Primary Respiratory Support in Preterm Infants
C.T. Roberts and Others
経鼻高流量酸素療法は,新生児において,抜管後の呼吸補助として用いた場合に,有効性は経鼻持続陽圧呼吸療法(CPAP)と同程度であることが示されている.呼吸困難を呈する早産児に対する一次呼吸補助としての有効性は明らかにされていない.
国際多施設共同無作為化非劣性試験で,出生後早期に呼吸困難を呈し,サーファクタント補充療法を受けていない早産児 564 例(在胎 28 週 0 日以上)を,経鼻高流量酸素療法を行う群と,経鼻 CPAP を行う群とに割り付けた.主要転帰は無作為化後 72 時間以内の治療失敗とした.非劣性の判定は,主要転帰のリスクの絶対差を算出して,非劣性マージンは 10 パーセントポイントとした.高流量酸素療法が失敗した児にはレスキュー CPAP を行うこととし,CPAP が失敗した児には挿管と人工呼吸管理を行った.
群間で主要転帰に有意差が認められたため,独立データ安全性モニタリング委員会の勧告に従い,試験登録を早期に中止した.治療失敗は,高流量群 278 例中 71 例(25.5%),CPAP 群 286 例中 38 例(13.3%)で発生した(リスク差 12.3 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] 5.8~18.7,P<0.001).72 時間以内の挿管の実施率に,高流量群と CPAP 群とで有意差は認められず(それぞれ 15.5%と 11.5%,リスク差 3.9 パーセントポイント,95% CI -1.7~9.6,P=0.17),有害事象の発現率にも有意差は認められなかった.
呼吸困難を呈する早産児の一次呼吸補助に高流量酸素療法を用いた場合,CPAP を用いた場合と比較して,治療失敗率が有意に高くなった.(オーストラリア国立保健医療研究審議会ほかから研究助成を受けた.Australian New Zealand Clinical Trials Registry 番号 ACTRN12613000303741)