December 1, 2016 Vol. 375 No. 22
女性の HIV-1 感染予防を目的としたダピビリン含有腟リングの使用
Use of a Vaginal Ring Containing Dapivirine for HIV-1 Prevention in Women
J.M. Baeten and Others
ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)感染は,抗レトロウイルス薬の予防投与により予防可能である.しかし,アフリカ人女性を対象とした臨床試験では,おそらく遵守率が低かったために HIV-1 新規感染率は低下しなかった.腟リングのような長時間作用する薬物送達法を用いれば投与が容易になり,HIV-1 感染防御効果が得られる可能性がある.
マラウイ,南アフリカ,ウガンダ,ジンバブエの 18~45 歳の女性を対象に,非ヌクレオシド系 HIV-1 逆転写酵素阻害薬ダピビリン(dapivirine)を含有する腟リングの月 1 回の挿入を第 3 相無作為化二重盲検プラセボ対照試験で検討した.
登録された 2,629 例において,HIV-1 感染は 168 件発生した.内訳はダピビリン群 71 件,プラセボ群 97 件であった(感染率はそれぞれ 100 人年あたり 3.3 件,4.5 件).ダピビリン群の HIV-1 新規感染率は,プラセボ群よりも 27%(95%信頼区間 [CI] 1~46)低かった(P=0.046).試験参加維持率と遵守率が低かった 2 施設のデータを除外した解析では,ダピビリン群の HIV-1 新規感染率はプラセボ群よりも 37%(95% CI 12~56)低かった(P=0.007).事後解析では,年齢が 21 歳を超える女性では高い HIV-1 感染防御効果が認められたが(56%,95% CI 31~71,P<0.001),21 歳以下の女性では認められず(-27%,95% CI -133~31,P=0.45),この差は遵守率の低下と相関していた.有害事象の発現率と HIV-1 感染女性における抗レトロウイルス薬耐性の発現率は 2 群で同程度であった.
月 1 回挿入するダピビリン含有腟リングによって,アフリカ人女性の HIV-1 感染リスクは低下し,遵守率の高いサブグループほど,高い有効性が認められた.(米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01617096)