December 22, 2016 Vol. 375 No. 25
痙攣性てんかん重積状態における神経保護のための低体温療法
Hypothermia for Neuroprotection in Convulsive Status Epilepticus
S. Legriel and Others
痙攣性てんかん重積状態は,しばしば永続的な神経障害をきたす.われわれは,痙攣性てんかん重積状態の患者に対する低体温療法が,神経学的転帰に及ぼす影響を評価した.
多施設共同試験において,痙攣性てんかん重積状態の急性・重症患者で人工換気下にある 270 例を,標準治療に加えて低体温療法(目標体温を 32~34℃とし,24 時間)を行う群と,標準治療のみを行う群に無作為に割り付け,268 例を解析した.主要転帰は 90 日の時点での良好な機能転帰とし,グラスゴー転帰尺度(GOS)スコア(範囲は 1~5 で,1 は死亡,5 は神経障害なしまたはわずか)が 5 と定義した.主な副次的転帰は,90 日死亡率,脳波で確認されるてんかん重積状態への進行,1 日目の難治性てんかん重積状態,「超難治性」てんかん重積状態(全身麻酔に不応),90 日目の機能的後遺症とした.
GOS スコア 5 を達成したのは,低体温療法群 138 例中 67 例(49%),対照群 130 例中 56 例(43%)であった(補正後の共通オッズ比 1.22,95%信頼区間 [CI] 0.75~1.99,P=0.43).初日に脳波で確認されるてんかん重積状態へ進行した割合は,低体温療法群のほうが対照群よりも低かったが(11% 対 22%,オッズ比 0.40,95% CI 0.20~0.79,P=0.009),その他の副次的転帰に有意差は認められなかった.有害事象の頻度は,低体温療法群のほうが対照群より高かった.
この試験では,痙攣性てんかん重積状態の患者に対し,標準治療に加えて低体温療法を行っても,標準治療単独と比較して 90 日の時点での有意に良好な転帰と関連しなかった.(フランス保健省から研究助成を受けた.HYBERNATUS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01359332)