December 29, 2016 Vol. 375 No. 26
関節炎に対するセレコキシブ,ナプロキセン,イブプロフェンの心血管安全性
Cardiovascular Safety of Celecoxib, Naproxen, or Ibuprofen for Arthritis
S.E. Nissen and Others
非選択的非ステロイド抗炎症薬(NSAID)と比較した,セレコキシブの心血管安全性は明らかにされていない.
変形性関節症または関節リウマチで NSAID を必要とし,心血管リスクが高い患者を,セレコキシブ投与群,イブプロフェン投与群,ナプロキセン投与群に無作為に割り付けた.試験の目的は,心血管死亡(出血性死亡を含む),非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中から成る主要複合転帰について,セレコキシブの非劣性を評価することであった.ハザード比が 1.12 以下であり,97.5%信頼限界上限が intention-to-treat 集団で 1.33 以下,on-treatment 集団で 1.40 以下である場合に非劣性が示されることとした.消化器転帰と腎転帰も判定した.
24,081 例を,セレコキシブ群(1 日投与量の平均 [±SD] 209±37 mg),ナプロキセン群(852±103 mg),イブプロフェン群(2,045±246 mg)に無作為に割り付けた.平均投与期間は 20.3±16.0 ヵ月,平均追跡期間は 34.1±13.4 ヵ月であった.試験期間中に患者の 68.8%が試験薬の服用を中止し,27.4%が追跡を中断した.intention-to-treat 解析では,主要転帰はセレコキシブ群 188 例(2.3%),ナプロキセン群 201 例(2.5%),イブプロフェン群 218 例(2.7%)に発生した(セレコキシブのナプロキセンに対するハザード比 0.93,95%信頼区間 [CI] 0.76~1.13;セレコキシブのイブプロフェンに対するハザード比 0.85,95% CI 0.70~1.04;いずれの比較も非劣性の P<0.001).on-treatment 解析では,主要転帰イベントはセレコキシブ群 134 例(1.7%),ナプロキセン群 144 例(1.8%),イブプロフェン群 155 例(1.9%)に発生した(セレコキシブのナプロキセンに対するハザード比 0.90,95% CI 0.71~1.15;セレコキシブのイブプロフェンに対するハザード比 0.81,95% CI 0.65~1.02;いずれの比較も非劣性の P<0.001).消化器イベントのリスクは,セレコキシブ群がナプロキセン群(P=0.01),イブプロフェン群(P=0.002)よりも有意に低かった.セレコキシブ群の腎イベントのリスクはイブプロフェン群よりも有意に低かったが(P=0.004),ナプロキセン群との比較では有意に低くはなかった(P=0.19).
中用量のセレコキシブは,心血管安全性に関して,イブプロフェン,ナプロキセンに対して非劣性を示した.(Pfizer 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00346216)