The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

August 11, 2016 Vol. 375 No. 6

急性内科疾患患者に対するベトリキサバンによる長期血栓予防
Extended Thromboprophylaxis with Betrixaban in Acutely Ill Medical Patients

A.T. Cohen and Others

背景

急性内科疾患患者は長期にわたり静脈血栓症リスクを有する.しかし,血栓予防の適切な期間は明らかにされていない.

方 法

急性内科疾患で入院した患者を,エノキサパリン(1 日 1 回 40 mg)の皮下投与を 10±4 日間とベトリキサバン(betrixaban)のプラセボの経口投与を 35~42 日間行う群と,エノキサパリンのプラセボの皮下投与を 10±4 日間とベトリキサバン(1 日 1 回 80 mg)の経口投与を 35~42 日間行う群に無作為に割り付けた.逐次解析を,事前に規定した D ダイマー高値の患者(コホート 1),D ダイマー高値または 75 歳以上の患者(コホート 2),登録患者全例(全体コホート)という,段階的に対象を増やしていく 3 つのコホートで行った.統計解析計画では,この順序で解析を行い,群間で有意差が認められなかった場合は,その後の解析は探索的とみなすこととした.主要有効性転帰は,無症候性近位深部静脈血栓症,症候性静脈血栓塞栓症などの複合とした.主要安全性転帰は重大な出血とした.

結 果

7,513 例が無作為化された.コホート 1 における主要有効性転帰の発生率は,ベトリキサバン投与例で 6.9%,エノキサパリン投与例で 8.5%であった(ベトリキサバン群の相対リスク 0.81,95%信頼区間 [CI] 0.65~1.00,P=0.054).コホート 2 ではそれぞれ 5.6%,7.1%であり(相対リスク 0.80,95% CI 0.66~0.98,P=0.03),全体コホートでは 5.3%,7.0%であった(相対リスク 0.76,95% CI 0.63~0.92,P=0.006)(コホート 1 の結果から,その後行われた 2 つの解析は探索的とみなした).全体コホートにおける重大な出血の発生率は,ベトリキサバン群で 0.7%,エノキサパリン群で 0.6%であった(相対リスク 1.19,95% CI 0.67~2.12,P=0.55).

結 論

D ダイマー高値の急性内科疾患患者に対して,ベトリキサバンを長期投与した場合とエノキサパリンによる標準治療を行った場合とで,事前に規定した主要有効性転帰に有意差は認められなかった.しかし,事前に規定した探索的解析では,より大規模な 2 つのコホートでベトリキサバンの有用性を示唆するエビデンスが得られた.(Portola Pharmaceuticals 社から研究助成を受けた.APEX 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01583218)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2016; 375 : 534 - 44. )