March 16, 2017 Vol. 376 No. 11
高齢の膠芽腫患者における短期間の放射線とテモゾロミドの併用
Short-Course Radiation plus Temozolomide in Elderly Patients with Glioblastoma
J.R. Perry and Others
膠芽腫は高齢であるほど予後不良に関連する.70 歳以下の患者では,標準放射線療法(6 週間で 60 Gy)にテモゾロミドによる化学療法を追加した場合,生存期間が延長することが示されている.高齢患者には,通常はより施行しやすいより短期間の放射線療法が用いられるが,短期間の放射線療法にテモゾロミドを追加することの利益は不明である.
新たに膠芽腫と診断された 65 歳以上の患者を対象に試験を行った.患者を放射線療法単独群(40 Gy を 15 分割)と,放射線療法にテモゾロミドを同時併用する群に無作為に割り付けた.
562 例を無作為化し,各群に 281 例を割り付けた.年齢の中央値は 73 歳(範囲 65~90 歳)であった.全生存期間の中央値は,放射線療法+テモゾロミド群が放射線療法単独群よりも長く(9.3 ヵ月 対 7.6 ヵ月,死亡のハザード比 0.67,95%信頼区間 [CI] 0.56~0.80,P<0.001),無増悪生存期間の中央値も同様であった(5.3 ヵ月 対 3.9 ヵ月,疾患進行または死亡のハザード比 0.50,95% CI 0.41~0.60,P<0.001).O6-メチルグアニン–DNA メチルトランスフェラーゼ(MGMT)遺伝子がメチル化状態の 165 例では,全生存期間の中央値は放射線療法+テモゾロミド群 13.5 ヵ月,放射線療法単独群 7.7 ヵ月であった(死亡のハザード比 0.53,95% CI 0.38~0.73,P<0.001).MGMT 遺伝子非メチル化状態の 189 例では,全生存期間の中央値は放射線療法+テモゾロミド群 10.0 ヵ月,放射線療法単独群 7.9 ヵ月であった(死亡のハザード比 0.75,95% CI 0.56~1.01,P=0.055,交互作用の P=0.08).QOL は 2 群で同程度であった.
高齢の膠芽腫患者では,短期間の放射線療法にテモゾロミドを追加することで,短期間の放射線療法単独と比較して生存期間が延長した.(カナダ対がん協会研究所ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00482677)