March 23, 2017 Vol. 376 No. 12
C1 インヒビターの皮下投与による遺伝性血管性浮腫の発作予防
Prevention of Hereditary Angioedema Attacks with a Subcutaneous C1 Inhibitor
H. Longhurst and Others
遺伝性血管性浮腫は C1 インヒビター蛋白の欠損(1 型)または機能異常(2 型)に起因する疾患で,障害をもたらし,死にいたる可能性がある.皮下注射に適したナノ濾過 C1 インヒビター製剤 CSL830 の第 2 相試験では,C1 インヒビター活性が,発作予防効果が期待される実用的な値になった.
国際前向き多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照用量設定第 3 相試験にて,1 型または 2 型の遺伝性血管性浮腫で,スクリーニング前の 3 ヵ月間のうち連続する 2 ヵ月間に発作が 4 回以上出現した患者を対象に,CSL830 の自己皮下注射の有効性と安全性を評価した.クロスオーバーデザインにより,患者を,40 IU/kg または 60 IU/kg の CSL830 を週 2 回,16 週間投与し,その後プラセボを 16 週間投与する群と,その逆の順序で投与する群の計 4 群に無作為に割り付けた.主要有効性エンドポイントは血管性浮腫の発作回数とした.副次的有効性エンドポイントは反応(CSL830 により発作回数がプラセボと比較して 50%以上減少)を示した患者の割合と,レスキュー投与を行った回数とした.
無作為化した 90 例のうち,79 例が試験を完了した.CSL830 の 40 IU/kg および 60 IU/kg は,プラセボと比較して,発作の出現率が低かった(40 IU の差の平均 -2.42 回/月,95%信頼区間 [CI] -3.38~-1.46;60 IU の差の平均 -3.51 回/月,95% CI -4.21~-2.81;両比較とも P<0.001).反応率は 40 IU 群 76%(95% CI 62~87),60 IU 群 90%(95% CI 77~96)であった.レスキュー投与を要した回数は,40 IU 群は 1.13 回/月であり,プラセボ群の 5.55 回/月より少なく,60 IU 群は 0.32 回/月であり,プラセボ群の 3.89 回/月より少なかった.有害事象(多くは軽度かつ一過性の局所反応)が発現した患者の割合は,CSL830 投与例とプラセボ投与例とで同程度であった.
遺伝性血管性浮腫の患者に C1 インヒビター皮下投与を週 2 回予防的に行った結果,急性発作の頻度が有意に低下した.(CSL Behring 社から研究助成を受けた.COMPACT 試験:EudraCT 登録番号 2013-000916-10,ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01912456)