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March 30, 2017 Vol. 376 No. 13

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心筋梗塞における冠血流予備量比に基づく多枝血管形成術
Fractional Flow Reserve–Guided Multivessel Angioplasty in Myocardial Infarction

P.C. Smits and Others

背景

ST 上昇型心筋梗塞(STEMI)患者は,梗塞責任冠動脈の血流を再開させるために経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を行うことで転帰が改善する.非梗塞責任冠動脈に対する PCI については議論が続いている.

方 法

STEMI および多枝病変を有し,梗塞責任冠動脈に対してプライマリ PCI を受けた 885 例を,冠血流予備量比(FFR)に基づき非梗塞責任冠動脈の完全血行再建を行う群(295 例)と行わない群(590 例)に,1:2 の割合で無作為に割り付けた.FFR は両群で測定したが,後者の群では FFR の結果は患者にも主治医にも知らせなかった.主要転帰は 12 ヵ月の時点での全死因死亡,非致死的心筋梗塞,血行再建,脳血管イベントの複合とした.梗塞責任冠動脈に対してのみ PCI を行った群では,臨床的に必要とされ,プライマリ PCI 後 45 日以内に行われた待期的血行再建は,イベントとはみなさなかった.

結 果

主要転帰は,完全血行再建を行った群では 23 例,完全血行再建を行わず梗塞動脈のみを治療した群では 121 例に発生した.これは,イベントが 100 例あたりそれぞれ 8 件と 21 件発生したことに相当する(ハザード比 0.35,95%信頼区間 [CI] 0.22~0.55,P<0.001).死亡は,完全血行再建を行った群 4 例,梗塞動脈のみを治療した群 10 例(1.4% 対 1.7%)(ハザード比 0.80,95% CI 0.25~2.56),心筋梗塞はそれぞれ 7 例と 28 例(2.4% 対 4.7%)(ハザード比 0.50,95% CI 0.22~1.13),血行再建は 18 例と 103 例(6.1% 対 17.5%)(ハザード比 0.32,95% CI 0.20~0.54),脳血管イベントは 0 例と 4 例(0 対 0.7%)に発生した.FFR に関連する重篤な有害事象は 2 例に発現した(いずれも梗塞責任動脈のみを治療した群).

結 論

STEMI および多枝病変を有し,梗塞責任動脈に対してプライマリ PCI を受けた患者において,急性期に非梗塞責任動脈に対し FFR に基づき完全血行再建を追加で行った例では,梗塞責任動脈のみを治療した例と比較して心血管複合転帰のリスクが低かった.この結果は主に,その後行われる血行再建が減少したことによるものであった.(マーススタト心血管研究ほかから研究助成を受けた.Compare-Acute 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01399736)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 1234 - 44. )