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April 13, 2017 Vol. 376 No. 15

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LDL コレステロールの上昇を伴う心血管リスクの高い患者に対するインクリシラン
Inclisiran in Patients at High Cardiovascular Risk with Elevated LDL Cholesterol

K.K. Ray and Others

背景

PCSK9 メッセンジャー RNA を標的とするようデザインされた化学的合成低分子干渉 RNA であるインクリシラン(inclisiran)を健常ボランティアに単回注射した先行試験では,低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールが低下し,84 日間持続した.

方 法

LDL コレステロール高値の心血管リスクが高い患者を対象に,インクリシランを皮下注射で投与する第 2 相多施設共同二重盲検プラセボ対照複数用量反復投与試験を行った.患者を,プラセボ,インクリシラン 200 mg,300 mg,500 mg の単回投与,またはプラセボ,インクリシラン 100 mg,200 mg,300 mg の 2 回投与(1 日目と 90 日目)に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,180 日目における LDL コレステロール値のベースラインからの変化とした.安全性データは 210 日目まで,LDL コレステロール値と前駆蛋白転換酵素サブチリシン/ケキシン 9 型(PCSK9)値のデータは 240 日目まで入手しえた.

結 果

501 例を無作為化した.インクリシラン投与例では,PCSK9 値と LDL コレステロール値に用量依存的な低下が認められた.180 日目における LDL コレステロール値の低下率の最小二乗平均値は,インクリシラン単回投与後で 27.9~41.9%,インクリシラン 2 回投与後で 35.5~52.6%であった( プラセボとのすべての比較で P<0.001).インクリシラン 300 mg の 2 回投与レジメンでは,LDL コレステロール値の低下が最大であり,180 日目では,このレジメンで投与を受けた例の 48%で LDL コレステロール値が 50 mg/dL(1.3 mmol/L)未満であった.240 日目でも,PCSK9 値と LDL コレステロール値は,すべてのインクリシランレジメンでベースラインより有意に低かった.重篤な有害事象がインクリシラン投与例の 11%とプラセボ投与例の 8%で発現した.注射部位反応はインクリシラン注射を受けた例の 5%で発現した.

結 論

この試験では,インクリシランは,LDL コレステロール高値の心血管リスクが高い患者の PCSK9 値と LDL コレステロール値を低下させることが示された.(The Medicines Company 社から研究助成を受けた.ORION-1 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02597127)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 1430 - 40. )