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June 1, 2017 Vol. 376 No. 22

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非小細胞肺癌の進展の追跡
Tracking the Evolution of Non–Small-Cell Lung Cancer

M. Jamal-Hanjani and Others

背景

非小細胞肺癌(NSCLC)患者における腫瘍内不均一性と癌ゲノム進化に関するデータは,小規模の後ろ向きコホートからしか得られていない.われわれは,腫瘍内不均一性を臨床転帰との関連で前向きに調査し,早期 NSCLC の進展に関わるイベントのクローン性と進展の過程を明らかにしたいと考えた.

方 法

前向きコホート研究において,早期 NSCLC 患者 100 例から全身療法前に切除した腫瘍検体を用いて多部位全エクソーム解析を行った.進展歴を明らかにし,クローン性イベントとサブクローン性イベントの件数を調査し,腫瘍内不均一性と無再発生存との関連を評価するために,327 の腫瘍部位の配列を決定・解析した.

結 果

体細胞性コピー数変化と変異の両方に,広範な腫瘍内不均一性が観察された.EGFRMETBRAFTP53 のドライバー変異はほぼすべてがクローン性であった.しかし,進展の後期に生じた癌進展に関わる不均一な変異は腫瘍の 75%超で発見され,PIK3CANF1 や,クロマチン修飾と DNA 損傷応答・修復に関与する遺伝子に多くみられた.ゲノム倍加と継続的・動的な染色体不安定性は腫瘍内不均一性に関連し,CDK4FOXA1BCL11A の増幅など,癌進展に関わる体細胞性コピー数変化の平行進化を引き起こした.コピー数の不均一性が高いことは再発または死亡のリスクが高いことに関連し(ハザード比 4.9,P=4.4×10-4),この関連は,多変量解析においても依然有意であった.

結 論

染色体不安定性を介して生じる腫瘍内不均一性は,再発または死亡のリスクが高いことに関連した.この知見は,染色体不安定性が予後因子として有用である可能性を支持している.(キャンサーリサーチ UK ほかから研究助成を受けた.TRACERx 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01888601)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 376 : 2109 - 21. )