病院の価値に基づく購入と関連した病院の質の変化
Changes in Hospital Quality Associated with Hospital Value-Based Purchasing
A.M. Ryan and Others
病院の価値に基づく購入(HVBP)プログラムが 2013 年度に開始され,急性期病院に対するメディケアの償還において,質の高い成績に基づき最大 1%の調整がなされるようになった.
HVBP を導入した急性期病院で,対照病院(HVBP を導入しなかった中核病院 [Critical Access Hospital])と比較して,質が改善されたかどうかを評価した.質の指標は,診療過程と患者経験の複合指標(標準偏差単位で評価し,1 は成績が病院平均を 1 標準偏差 [SD] 上回ることを示す)と,急性心筋梗塞,心不全,肺炎のいずれかで入院した患者の 30 日リスク標準化死亡率とした.HVBP 導入後の質の指標の変化は,急性期病院(解析対象とした病院数は,最小が急性心筋梗塞で入院した患者の死亡率を解析した 1,364 施設,最大が肺炎で入院した患者の死亡率を解析した 2,615 施設)と対照病院(病院数は最小 31 施設,最大 617 施設)とで,それぞれマッチさせたサンプルを評価した.マッチングは,介入前の質の指標に関する成績に基づいて行った.HVBP 開始後 4 年間の成績を評価した.
HVBP を導入した病院では,対照病院と比較して,診療過程,患者経験の指標に有意に大きな改善は認められず,difference-in-differences 法による推定では,診療過程が 0.079 SD(95%信頼区間 [CI] -0.140~0.299),患者経験が -0.092 SD(95% CI -0.307~0.122)であった.HVBP は,急性心筋梗塞で入院した患者の死亡率,心不全で入院した患者の死亡率の有意な低下には関連しなかったが(difference-in-differences 法による推定でそれぞれ -0.282 パーセントポイント [95% CI -1.715~1.152],-0.212 パーセントポイント [95%CI -0.532~0.108]),肺炎で入院した患者の死亡率の有意な低下には関連した(-0.431 パーセントポイント [95% CI -0.714~-0.148]).
この研究で,HVBP と診療過程,患者経験の指標の改善との関連は示されず,死亡率の 3 指標のうち 2 指標の有意な低下との関連も示されなかった.(米国国立老化研究所から研究助成を受けた.)