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December 7, 2017 Vol. 377 No. 23

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深部静脈血栓症に対する薬理機械的カテーテル血栓溶解療法
Pharmacomechanical Catheter-Directed Thrombolysis for Deep-Vein Thrombosis

S. Vedantham and Others

背景

近位深部静脈血栓症を発症した患者は,抗凝固療法を行っても血栓後症候群の発症頻度が高い.薬理機械的カテーテル血栓溶解療法(以後「薬理機械的血栓溶解療法」)は血栓を速やかに除去し,血栓後症候群のリスクを低下させると仮定されている.

方 法

急性近位深部静脈血栓症を発症した 692 例を,抗凝固療法を単独で行う群(対照群)と,抗凝固療法に薬理機械的血栓溶解療法を併用する群(ステント併用または非併用下で,カテーテルまたはデバイスを介して血栓内に遺伝子組換え組織プラスミノーゲンアクチベータを送達し,血栓を吸引または破砕する)のいずれかに無作為に割り付けた.追跡 6 ヵ月後~24 ヵ月後の血栓後症候群の発症を主要転帰とした.

結 果

6 ヵ月後~24 ヵ月後の期間に,血栓後症候群を発症した患者の割合に群間で有意差は認められなかった(薬理機械的血栓溶解療法群 47%,対照群 48%;リスク比 0.96;95%信頼区間 [CI] 0.82~1.11;P=0.56).薬理機械的血栓溶解療法は,10 日以内に重大な出血イベントが発生する頻度が高かったが(1.7% 対 0.3%,P=0.049),24 ヵ月の追跡期間中の静脈血栓塞栓症の再発に有意差は認められなかった(薬理機械的血栓溶解療法群 12%,対照群 8%;P=0.09).中等症から重症の血栓後症候群を発症したのは,薬理機械的血栓溶解療法群では 18%であったのに対し,対照群では 24%であった(リスク比 0.73,95% CI 0.54~0.98,P=0.04).追跡 6,12,18,24 ヵ月後の時点での血栓後症候群の重症度スコアは,薬理機械的血栓溶解療法群のほうが対照群よりも低かったが(各時点での Villalta スコアの比較の P<0.01),ベースラインから 24 ヵ月後までの QOL の改善に群間で有意差は認められなかった.

結 論

急性近位深部静脈血栓症を発症した患者では,薬理機械的カテーテル血栓溶解療法を抗凝固療法に追加しても,血栓後症候群のリスクが低くなることはなく,重大な出血のリスクが高くなった.(米国国立心臓・肺・血液研究所ほかから研究助成を受けた.ATTRACT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00790335)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2017; 377 : 2240 - 52. )