September 7, 2017 Vol. 377 No. 10
流行性耳下腺炎の集団発生の制御における MMR ワクチンの 3 回目の接種の有効性
Effectiveness of a Third Dose of MMR Vaccine for Mumps Outbreak Control
C.V. Cardemil and Others
麻疹・流行性耳下腺炎・風疹(MMR)ワクチンの 3 回目の接種が,流行性耳下腺炎の集団発生の制御に有効かどうかは明らかにされていない.ワクチン接種歴のあるアイオワ大学の学生で集団発生が起こった際,保健当局者が広範な MMR ワクチン接種キャンペーンを実施した.集団発生の制御に向けた 3 回目の接種の有効性を検討し,免疫の減衰を評価した.
2015~16 年の 1 学年度に登録された大学生 20,496 人のうち,259 人が流行性耳下腺炎と診断された.Fisher の正確確率検定を用いて,MMR ワクチンの接種状況と 2 回目の接種からの経過年数に基づいて未補正の発病率を比較した.多変量時間依存性 Cox 回帰モデルを用いて,2 回目の接種からの年数で補正後の,接種状況別(接種 3 回 対 2 回,2 回 対 未接種)のワクチン有効性を評価した.
集団発生前に,学生の 98.1%が MMR ワクチンを 2 回以上接種していた.集団発生中に 4,783 人が 3 回目の接種を受けた.発病率は,接種を 3 回受けた学生のほうが 2 回受けた学生よりも低かった(1,000 人あたり 6.7 例 対 14.5 例,P<0.001).2 回目の接種を受けたのが集団発生の 13 年以上前であった学生では,流行性耳下腺炎のリスクが 9 倍を超えた.接種後 28 日の時点で,3 回接種での流行性耳下腺炎のリスクは,2 回接種と比較して 78.1%低いことに関連していた(補正ハザード比 0.22,95%信頼区間 0.12~0.39).未接種と比較した 2 回接種の有効性は,2 回目の接種からの間隔があいている学生ほど低かった.
MMR ワクチンの接種を 3 回受けた学生では,2 回受けた学生と比較して,2 回目の接種からの年数で補正後,流行性耳下腺炎のリスクが低かった.2 回目の接種を受けたのが集団発生の 13 年以上前であった学生では,流行性耳下腺炎のリスクが高かった.これらの結果から,MMR ワクチンの 3 回目の接種を行うためのキャンペーンにより,流行性耳下腺炎の集団発生の制御が改善されたこと,また,免疫の減衰がおそらく集団発生の拡大に寄与したことが示唆される.(米国疾病管理予防センターから研究助成を受けた.)