The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

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日本語アブストラクト

April 9, 2020 Vol. 382 No. 15

手術不能の蔓状神経線維腫を有する小児におけるセルメチニブ
Selumetinib in Children with Inoperable Plexiform Neurofibromas

A.M. Gross and Others

背景

神経線維腫症 1 型患者における手術不能の蔓状神経線維腫には,承認された治療法はない.

方 法

セルメチニブ(selumetinib)の非盲検第 2 相試験を,蔓状神経線維腫患者における客観的奏効割合を明らかにし,臨床的利益を評価する目的で行った.神経線維腫症 1 型で,症状を伴う手術不能の蔓状神経線維腫を有する小児に,連続投与スケジュール(28 日サイクル)でセルメチニブ 25 mg/m2 体表面積を 1 日 2 回経口投与した.MRI による腫瘍体積測定と臨床転帰の評価(疼痛,QOL,変形,機能)を少なくとも 4 サイクルごとに行った.腫瘍による疼痛の強度を患児が 0(痛みなし)~10(想像しうる最大の痛み)の尺度で評価した.

結 果

2015 年 8 月~2016 年 8 月に 50 例(年齢中央値 10.2 歳,範囲 3.5~17.4)が組み入れられた.頻度の高かった神経線維腫関連症状は,変形(44 例),運動機能障害(33 例),疼痛(26 例)であった.2019 年 3 月 29 日の時点で,35 例(70%)で部分奏効が確認され,うち 28 例は持続的奏効(1 年以上持続)であった.投与開始後 1 年の時点で,患児が報告した腫瘍による疼痛の強度のスコア低下は平均で 2 点であり,臨床的に意味のある改善とみなされた.また,臨床的に意味のある改善は,患児と両親が報告した転帰のうちの日常機能への支障(それぞれ 38%と 50%が報告)と全般的健康関連 QOL(それぞれ 48%と 58%)に認められただけでなく,機能的転帰である筋力(患児の 56%)と関節可動域(患児の 38%)にも認められた.5 例がセルメチニブに関連する可能性がある毒性により投与を中止し,6 例に病勢進行が認められた.頻度の高かった毒性は悪心・嘔吐・下痢,無症候性のクレアチンホスホキナーゼ上昇,痤瘡皮疹,爪囲炎であった.

結 論

この第 2 相試験では,神経線維腫症 1 型で手術不能の蔓状神経線維腫を有する小児の大部分で,セルメチニブにより持続的な腫瘍縮小と臨床的利益が得られた.(米国国立衛生研究所の所内研究プログラムほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01362803)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 382 : 1430 - 42. )