進行前立腺癌に対するアンドロゲン除去療法としてのレルゴリクスの経口投与
Oral Relugolix for Androgen-Deprivation Therapy in Advanced Prostate Cancer
N.D. Shore and Others
黄体形成ホルモン放出ホルモン作動薬の注射剤(例:リュープロレリン)は,投与開始初期にテストステロンが一過性に上昇し,治療効果が遅延するにもかかわらず,前立腺癌を有する男性患者のアンドロゲンを除去するための標準薬とされている.経口ゴナドトロピン放出ホルモン拮抗薬レルゴリクスの,リュープロレリンと比較した有効性と安全性は不明である.
第 3 相試験で,進行前立腺癌患者をレルゴリクス(120 mg 1 日 1 回経口投与)群とリュープロレリン(3 ヵ月ごとに注射)群に 2:1 の割合で無作為に割り付け,48 週間投与した.主要エンドポイントは,48 週にわたりテストステロンが去勢レベル(50 ng/dL 未満)に抑制されることとした.副次的エンドポイントは,主要エンドポイントに関する非劣性,4 日目にテストステロンが去勢レベルに達していること,15 日目にテストステロンが高度の去勢レベル(20 ng/dL 未満)に達していることなどとした.テストステロン値の回復を患者のサブグループで評価した.
622 例がレルゴリクスの投与を受け,308 例がリュープロレリンの投与を受けた.レルゴリクスの投与を受けた患者の 96.7%(95%信頼区間 [CI] 94.9~97.9)で去勢レベルのテストステロンが 48 週間持続したのに対し,リュープロレリンの投与を受けた患者では 88.8%(95% CI 84.6~91.8)であった.その差は 7.9 パーセントポイント(95% CI 4.1~11.8)であり,レルゴリクスの非劣性と優越性が示された(優越性の P<0.001).その他すべての重要な副次的エンドポイントでも,レルゴリクスのリュープロレリンに対する優越性が示された(P<0.001).4 日目にテストステロンが去勢レベルであった患者の割合はレルゴリクス群で 56.0%,リュープロレリン群で 0%であった.テストステロン値の回復を追跡した 184 例のサブグループでは,投与中止後 90 日の時点のテストステロン値の平均はレルゴリクス群で 288.4 ng/dL,リュープロレリン群で 58.6 ng/dL であった.患者全体での主要有害心血管イベントの発生率は,レルゴリクス群で 2.9%,リュープロレリン群で 6.2%であった(ハザード比 0.46,95% CI 0.24~0.88).
進行前立腺癌患者を対象とした試験で,レルゴリクスの投与を受けた患者では,リュープロレリンの投与を受けた患者よりも速やかにかつ持続的にテストステロンが抑制され,主要有害心血管イベントのリスクが 54%低かった.(マイオバント・サイエンシズ社から研究助成を受けた.HERO 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03085095)