The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

February 20, 2020 Vol. 382 No. 8

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

中等度~重度の結節性痒疹に対するネモリズマブの試験
Trial of Nemolizumab in Moderate-to-Severe Prurigo Nodularis

S. Ständer and Others

背景

結節性痒疹は,結節性皮膚病変が多発する慢性の瘙痒性皮膚疾患である.ネモリズマブ(nemolizumab)は,結節性痒疹の成因に関与するインターロイキン-31 受容体を標的とするモノクローナル抗体である.

方 法

12 週間の無作為化二重盲検第 2 相試験において,中等度~重度の結節性痒疹と強い痒みを有する患者にネモリズマブ(0.5 mg/kg 体重)をベースライン,4 週目,8 週目に皮下投与し,プラセボと比較した.中等度~重度の結節性痒疹は結節を 20 個以上認めることと定義し,強い痒みは数値的評価尺度(0 [痒みなし]~10 [考えうる最大の痒み])で評価する 1 日の最大の痒みの平均スコアが 7 以上と定義した.主要評価項目は,4 週の時点における数値的評価尺度で評価した痒みの最高スコアの平均のベースラインからの変化率とした.副次的評価項目は,痒みを評価するための追加の指標,疾患の重症度などとした.安全性の評価を 18 週まで行った.

結 果

70 例をネモリズマブを投与する群(34 例)とプラセボを投与する群(36 例)に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.数値的評価尺度で評価した痒みの最初のスコアは各群 8.4 であった.4 週の時点で,数値的評価尺度で評価した痒みの最高スコアは,ネモリズマブ群ではベースラインから 4.5 ポイントの低下(変化率 -53.0%)であったのに対し,プラセボ群では 1.7 ポイントの低下(変化率 -20.2%)であった(差 -32.8 パーセントポイント,95%信頼区間 -46.8~-18.8,P<0.001).副次的評価項目の結果は主要評価項目と同様の方向性を示した.ネモリズマブは消化器症状(腹痛と下痢)と筋骨格症状を伴った.

結 論

結節性痒疹を有する患者において,ネモリズマブはプラセボと比較して痒みと皮膚病変の重症度を大幅に低下させたが,有害事象を伴った.結節性痒疹の治療に用いるネモリズマブの効果の持続性と安全性を明らかにするためには,さらに大規模かつ長期の試験が必要である.( ガルデルマ社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03181503)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 382 : 706 - 16. )