高度薬剤耐性肺結核の治療
Treatment of Highly Drug-Resistant Pulmonary Tuberculosis
F. Conradie and Others
高度薬剤耐性結核患者の治療選択肢は限られており,歴史的に転帰は不良である.
南アフリカの 3 施設で現在も追跡調査が続けられている非盲検単群試験で,3 種類の経口薬,ベダキリン,プレトマニド(pretomanid),リネゾリドによる治療を検討した.これらは結核菌に対する殺菌活性を有し,既知の耐性がほとんどない.超多剤耐性結核患者と,治療が奏効しなかったか副作用のために二次治療レジメンが中止された多剤耐性結核患者を対象に,この薬剤の組合せの安全性と有効性を 26 週間評価した.主要エンドポイントは好ましくない転帰の発生とし,(細菌学的もしくは臨床的な)治療失敗,または治療終了後 6 ヵ月までの追跡期間中の再発と定義した.6 ヵ月の時点で臨床症状が消失しており,培養陰性で,好ましくない転帰に分類されていなかった患者を,好ましい転帰をとったと分類した.その他の有効性エンドポイントと安全性も評価した.
109 例が試験に登録され,有効性と安全性のエンドポイントの評価の対象となった.intention-to-treat 解析では,治療終了後 6 ヵ月の時点で 11 例(10%)が好ましくない転帰をとり,98 例(90%,95%信頼区間 83~95)が好ましい転帰をとった.好ましくない転帰をとった 11 例の内訳は,死亡 7 例(6 例は治療期間中の死亡,1 例は追跡期間中の原因不明の死亡),治療期間中の同意撤回 1 例,追跡期間中の再発 2 例,追跡不能 1 例であった.リネゾリドの毒性として予測された末梢神経障害(81%に発現)と骨髄抑制(48%)は,頻度は高かったが管理可能であり,投与中のリネゾリドの減量または中断にいたることが多かった.
高度薬剤耐性結核患者において,ベダキリン,プレトマニド,リネゾリドの併用により,治療終了後 6 ヵ月の時点で高い割合で好ましい転帰が得られた.関連する毒性が一部認められた.(TB アライアンスほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02333799)