October 15, 2020 Vol. 383 No. 16
関節リウマチにおけるウパダシチニブとアバタセプトとの比較試験
Trial of Upadacitinib or Abatacept in Rheumatoid Arthritis
A. Rubbert-Roth and Others
ウパダシチニブは,関節リウマチを治療する経口選択的ヤヌスキナーゼ阻害薬である.生物学的疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)抵抗性の関節リウマチ患者において,T 細胞選択的共刺激調節薬のアバタセプトと比較した,ウパダシチニブの有効性と安全性は明らかにされていない.
24 週間の第 3 相二重盲検比較試験で,患者を,ウパダシチニブ(1 日 1 回 15 mg)を経口投与する群とアバタセプトを静脈内投与する群に 1:1 の割合で無作為に割り付け,それぞれ安定用量の合成 DMARD との併用下で投与した.主要エンドポイントは,12 週の時点での C 反応性蛋白値に基づく 28 関節の複合的な疾患活動性スコア(DAS28-CRP;0~9.4 で,スコアが高いほど疾患活動性が高いことを示す)のベースラインからの変化量とし,非劣性を評価した.12 週の時点での重要な副次的エンドポイントは,DAS28-CRP のベースラインからの変化量と DAS28-CRP が 2.6 未満で臨床的寛解が得られた患者の割合について,ウパダシチニブのアバタセプトに対する優越性が示されることとした.
303 例がウパダシチニブ,309 例がアバタセプトの投与を受けた.ベースラインの DAS28-CRP はウパダシチニブ群で 5.70,アバタセプト群で 5.88 であり,12 週の時点での変化量の平均はそれぞれ -2.52,-2.00 であった(差 -0.52 ポイント,95%信頼区間 [CI]-0.69~-0.35,非劣性の P<0.001,優越性の P<0.001).寛解が得られた患者の割合はウパダシチニブ群で 30.0%,アバタセプト群で 13.3%であった(差 16.8 パーセントポイント,95% CI 10.4~23.2,優越性の P<0.001).治療期間中に,ウパダシチニブ群では死亡 1 例,非致死的脳卒中 1 件,静脈血栓塞栓イベント 2 件が発生し,肝アミノトランスフェラーゼが上昇した患者はアバタセプト群よりも多かった.
生物学的 DMARD 抵抗性の関節リウマチ患者において,ウパダシチニブは,アバタセプトと比較して 12 週の時点での DAS28-CRP のベースラインからの変化量と寛解の達成に関して優れていたが,より多くの重篤な有害事象を伴った.関節リウマチ患者におけるウパダシチニブの効果と安全性を明らかにするためには,より長期かつ大規模な試験が必要である.(アッヴィ社から研究助成を受けた.SELECT-CHOICE 試験:Clinicaltrials.gov 登録番号 NCT03086343)