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October 15, 2020 Vol. 383 No. 16

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非ヒト霊長類における SARS-CoV-2 ワクチン mRNA-1273 の評価
Evaluation of the mRNA-1273 Vaccine against SARS-CoV-2 in Nonhuman Primates

K.S. Corbett and Others

背景

新型コロナウイルス感染症(Covid-19)を予防するワクチンが緊急に必要とされている.重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)ワクチンは,上気道・下気道の両方でのウイルス複製に対する効果を非ヒト霊長類で評価することが重要である.

方 法

非ヒト霊長類を,SARS-CoV-2 の膜融合前の安定化されたスパイク蛋白をコードするワクチンである mRNA-1273 を 10 μg 接種する群,100 μg 接種する群,接種しない対照群に割り付けた.上気道と下気道に SARS-CoV-2 を曝露させる(ウイルスチャレンジ)前に,抗体応答と T 細胞応答を評価した.気管支肺胞洗浄(BAL)液中と鼻腔ぬぐい液検体中の活動的なウイルス複製とウイルスゲノムをポリメラーゼ連鎖反応により評価し,肺組織検体について病理組織学的解析とウイルスの定量を行った.

結 果

ワクチン候補 mRNA-1273 は,ヒトの回復期血清中の抗体価を上回る抗体価を誘導し,生ウイルス 50%阻害希釈倍率(ID50)の逆数で示す幾何平均抗体価は,10 μg 接種群で 501,100 μg 接種群で 3,481 であった.ワクチン接種により,1 型ヘルパー T 細胞(Th1)に偏った CD4 T 細胞応答が誘導され,Th2 応答,CD8 T 細胞応答は低値であるか検出限界以下であった.ワクチンを接種した 2 群のそれぞれ 8 頭中 7 頭で,BAL 液中のウイルス複製はウイルスチャレンジ後 2 日目まで検出されなかった.100 μg 接種群 8 頭の鼻汁中には,ウイルス複製はウイルスチャレンジ後 2 日目まで検出されなかった.いずれのワクチン群でも,肺における炎症や,ウイルスゲノム,あるいは抗原の検出は限定的であった.

結 論

非ヒト霊長類に対する mRNA-1273 接種により,SARS-CoV-2 に対する強力な中和活性と,上気道・下気道における迅速な防御能が得られ,肺に病理学的変化は生じなかった.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 1544 - 55. )