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March 17, 2022 Vol. 386 No. 11

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遺伝性血管性浮腫に対するプレカリクレインの阻害
Inhibition of Prekallikrein for Hereditary Angioedema

L.M. Fijen and Others

背景

遺伝性血管性浮腫は,予測不能な浮腫を繰り返すのが特徴であり,障害をもたらし,死にいたることもある.アンチセンスオリゴヌクレオチド(ドニダロルセン [donidalorsen])の投与により血漿プレカリクレインの産生を選択的に阻害することで,発作の頻度が低下し,疾病負担が軽減される可能性がある.

方 法

第 2 相試験で,C1 インヒビター欠損による遺伝性血管性浮腫患者を,ドニダロルセン(80 mg)群とプラセボ群に 2:1 の割合で無作為に割り付け,4 週ごとに計 4 回皮下投与した.主要エンドポイントは,1 週目(ベースライン)~17 週目に試験担当医師が確認した血管性浮腫発作の,時間で正規化した 1 ヵ月あたりの回数(発作率)とした.副次的エンドポイントは,血管性浮腫 QOL 質問票(AE-QoL;0~100 で,スコアが高いほど QOL が不良であることを示す)で評価した QOL,安全性などとした.

結 果

20 例が組み入れられ,うち 14 例がドニダロルセン群,6 例がプラセボ群に無作為に割り付けられた.試験担当医師が確認した 1 ヵ月あたりの血管性浮腫の発作率の平均は,ドニダロルセン群 0.23(95%信頼区間 [CI] 0.08~0.39),プラセボ群 2.21(95% CI 0.58~3.85)であった(差の平均 -90%,95% CI -96~-76,P<0.001).AE-QoL スコアのベースラインから 17 週目までの変化量の平均は,ドニダロルセン群 -26.8 ポイント,プラセボ群 -6.2 ポイントであった(差の平均 -20.7 ポイント,95% CI -32.7~-8.7).軽度~中等度の有害事象の発現率は,ドニダロルセン群 71%,プラセボ群 83%であった.

結 論

今回の小規模第 2 相試験では,遺伝性血管性浮腫患者に対するドニダロルセンの投与により,プラセボと比較して血管性浮腫の発作率が有意に低下した.(アイオニス ファーマシューティカルズ社から研究助成を受けた.ISIS 721744-CS2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04030598)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 1026 - 33. )