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January 13, 2022 Vol. 386 No. 2

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米国の退役軍人における BNT162b2 ワクチンと mRNA-1273 ワクチンの相対的有効性
Comparative Effectiveness of BNT162b2 and mRNA-1273 Vaccines in U.S. Veterans

B.A. Dickerman and Others

背景

メッセンジャー RNA(mRNA)を用いた BNT162b2 ワクチンと mRNA-1273 ワクチンは,新型コロナウイルス感染症(Covid-19)に対して 90%を超える有効性がある.しかし,多様な集団におけるさまざまな転帰に対するそれらの相対的な有効性は明らかにされていない.

方 法

SARS-CoV-2 の B.1.1.7 変異株(アルファ株)が優勢であった 2021 年 1 月 4 日~5 月 14 日に,BNT162b2 ワクチンまたは mRNA-1273 ワクチンの初回接種を受けた米国退役軍人の電子診療録を用いて,理想の無作為化比較試験を模倣する手法(target-trial emulation)による解析を行った.各ワクチンの接種を受けた人を,それぞれの危険因子に基づいて 1:1 の割合でマッチさせた.転帰は,重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)の確定感染,症状を伴う Covid-19,Covid-19 による入院,Covid-19 による集中治療室(ICU)入室,Covid-19 による死亡などとした.Kaplan–Meier 推定量を用いてリスクを推定した.B.1.617.2 変異株(デルタ株)の影響を評価するため,2021 年 7 月 1 日~9 月 20 日にワクチン接種を受けた退役軍人のデータを用いて,別の target-trial emulation を行った.

結 果

各ワクチン群には 219,842 人が含まれた.アルファ株優勢期間中の 24 週の追跡期間における確定感染のリスクは,BNT162b2ワクチン群では 1,000 人あたり 5.75 件(95%信頼区間 [CI] 5.39~6.23),mRNA-1273 ワクチン群では 1,000 人あたり 4.52 件(95% CI 4.17~4.84)と推定された.BNT162b2 ワクチンの,mRNA-1273 ワクチンと比較した 1,000 人あたりの超過イベント数は,確定感染が 1.23 件(95% CI 0.72~1.81),症状を伴う Covid-19 が 0.44 件(95% CI 0.25~0.70),Covid-19 による入院が 0.55 件(95% CI 0.36~0.83),Covid-19 による ICU 入室が 0.10 件(95% CI 0.00~0.26),Covid-19 による死亡が 0.02 件(95% CI -0.06~0.12)であった.デルタ株優勢期間中の 12 週の追跡期間については,BNT162b2 ワクチンの,mRNA-1273 ワクチンと比較した確定感染の超過リスクは,1,000 人あたり 6.54 件(95% CI -2.58~11.82)であった.

結 論

mRNA-1273 ワクチンまたは BNT162b2 ワクチンの接種後 24 週間の Covid-19 関連転帰のリスクは低かったが,リスクは mRNA-1273 ワクチンのほうが BNT162b2 ワクチンよりも低かった.この傾向は,アルファ株優勢期間とデルタ株優勢期間で一貫していた.(米国退役軍人省ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 105 - 15. )