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April 7, 2022 Vol. 386 No. 14

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複雑性尿路感染症に対する経口テビペネム ピボキシル臭化水素酸塩
Oral Tebipenem Pivoxil Hydrobromide in Complicated Urinary Tract Infection

P.B. Eckburg and Others

背景

多剤耐性グラム陰性尿路病原菌に有効な経口抗菌薬が必要とされている.テビペネム ピボキシル臭化水素酸塩は経口で生物学的に利用可能なカルバペネム系薬であり,基質特異性拡張型 b ラクタマーゼ産生菌やフルオロキノロン耐性菌といった,尿路病原性腸内細菌科細菌に対して活性を示す.

方 法

第 3 相国際共同二重盲検ダブルダミー試験で,複雑性尿路感染症または急性腎盂腎炎の患者を対象に,テビペネム ピボキシル臭化水素酸塩経口投与の有効性と安全性を,エルタペネム(ertapenem)静注と比較評価した.患者を,テビペネム ピボキシル臭化水素酸塩(600 mg を 8 時間ごと)経口投与群と,エルタペネム(1 g を 24 時間ごと)静注群に 1:1 の割合で無作為に割り付け,7~10 日間(菌血症の患者には最長 14 日間)投与した.主要有効性エンドポイントは,微生物学的 intention-to-treat 集団における,治癒判定のための受診時(19 日目,±2 日以内)の全奏効(臨床的治癒と微生物学的に良好な反応の複合)とした.非劣性マージンは 12.5%とした.

結 果

成人入院患者 1,372 例が登録され,868 例(63.3%)が微生物学的 intention-to-treat 集団となった(このうち 50.8%は複雑性尿路感染症,49.2%は腎盂腎炎を有していた).全奏効は,テビペネム ピボキシル臭化水素酸塩の投与を受けた 449 例では 264 例(58.8%)に認められたのに対し,エルタペネムの投与を受けた 419 例では 258 例(61.6%)に認められた(加重差 -3.3 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -9.7~3.2).微生物学的 intention-to-treat 集団における,治癒判定のための受診時の臨床的治癒は,テビペネム ピボキシル臭化水素酸塩の投与を受けた患者の 93.1%と,エルタペネムの投与を受けた患者の 93.6%で観察された(加重差 -0.6 パーセントポイント,95% CI -4.0~2.8).治癒判定のための受診時に微生物学的反応が認められなかった患者の大多数は,無症候性細菌尿を繰り返していた.副次的解析とサブグループ解析の結果は,主要解析の結果を支持した.有害事象は,テビペネム ピボキシル臭化水素酸塩の投与を受けた患者の 25.7%と,エルタペネムの投与を受けた患者の 25.6%で観察された.とくに頻度の高かった有害事象は軽度の下痢と頭痛であった.

結 論

テビペネム ピボキシル臭化水素酸塩経口投与は,複雑性尿路感染症と急性腎盂腎炎の治療において,エルタペネム静注に対して非劣性であり,安全性プロファイルは同等であった.(スペロ セラピューティクス社,米国保健福祉省から研究助成を受けた.ADAPT-PO 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03788967)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 1327 - 38. )