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April 21, 2022 Vol. 386 No. 16

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IDH1 変異陽性の急性骨髄性白血病に対するイボシデニブとアザシチジン
Ivosidenib and Azacitidine in IDH1-Mutated Acute Myeloid Leukemia

P. Montesinos and Others

背景

イソクエン酸脱水素酵素 1 をコードする遺伝子(IDH1)に変異を有する急性骨髄性白血病と新たに診断された患者を対象とした第 1b 相試験で,変異 IDH1 阻害薬イボシデニブ(ivosidenib)とアザシチジンの併用は有望な臨床活性を示した.

方 法

第 3 相試験で,IDH1 変異陽性の急性骨髄性白血病と新たに診断された,強化寛解導入化学療法に不適格な患者を,イボシデニブ(500 mg 1 日 1 回)の経口投与とアザシチジン(28 日サイクルで 75 mg/m2 体表面積を 7 日間)の皮下投与または静脈内投与を受ける群と,マッチさせたプラセボとアザシチジンの投与を受ける群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは無イベント生存期間とし,無作為化から,治療失敗(24 週目までに完全寛解が得られなかった場合),寛解後の再発,全死因死亡のいずれかが発生するまでの期間と定義した.

結 果

intention-to-treat 集団は 146 例であり,72 例がイボシデニブ+アザシチジン群,74 例がプラセボ+アザシチジン群であった.追跡期間中央値 12.4 ヵ月の時点で,無イベント生存期間は,イボシデニブ+アザシチジン群のほうがプラセボ+アザシチジン群よりも有意に長かった(治療失敗・寛解後の再発・死亡のハザード比 0.33,95%信頼区間 [CI] 0.16~0.69,P=0.002).12 ヵ月の時点で無イベントを維持している確率は,イボシデニブ+アザシチジン群で 37%,プラセボ+アザシチジン群で 12%と推定された.全生存期間の中央値は,イボシデニブ+アザシチジン群で 24.0 ヵ月,プラセボ+アザシチジン群で 7.9 ヵ月であった(死亡のハザード比 0.44,95% CI 0.27~0.73,P=0.001).頻度の高かったグレード 3 以上の有害事象は,発熱性好中球減少症(イボシデニブ+アザシチジン群 28%,プラセボ+アザシチジン群 34%),好中球減少症(27%,16%)などであり,すべてのグレードの出血イベントの発現率はそれぞれ 41%と 29%であった.すべてのグレードの感染の発現率は,イボシデニブ+アザシチジン群で 28%,プラセボ+アザシチジン群で 49%であった.すべてのグレードの分化症候群は,イボシデニブ+アザシチジンの投与を受けた患者の 14%と,プラセボ+アザシチジンの投与を受けた患者の 8%に発現した.

結 論

治療困難な IDH1 変異陽性の急性骨髄性白血病患者集団において,イボシデニブ+アザシチジンは,プラセボ+アザシチジンと比較して有意な臨床的利益を示した.発熱性好中球減少症と感染の頻度は,イボシデニブ+アザシチジン群のほうがプラセボ+アザシチジン群よりも低かった一方,好中球減少症と出血の頻度はイボシデニブ+アザシチジン群のほうが高かった.(アジオス ファーマシューティカルズ社,セルヴィエ ファーマシューティカルズ社から研究助成を受けた.AGILE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号NCT03173248)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 1519 - 31. )