April 28, 2022 Vol. 386 No. 17
BNT162b2 mRNA Covid-19 ワクチンの全国規模での 4 回目接種
Fourth Dose of BNT162b2 mRNA Covid-19 Vaccine in a Nationwide Setting
O. Magen and Others
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)の B.1.1.529 変異株(オミクロン株)による感染の大きな波の発生とともに,新型コロナウイルス感染症(Covid-19)ワクチンのブースター接種後に免疫が減弱するというエビデンスが示されたことから,いくつかの国ではリスクを有する人への 4 回目接種が開始されている.
Covid-19 関連転帰の予防における BNT162b2 ワクチンの 4 回目接種の早期の有効性を評価するため,イスラエル最大の医療組織で記録された 2022 年 1 月 3 日~2 月 18 日のデータを解析した.60 歳以上における 4 回目接種の相対的な有効性を,4 ヵ月以上前に行われた 3 回目接種の有効性と比較評価した.4 回目接種を受けた人と受けていない人を,複数の社会人口統計学的変数と臨床的変数に関して個別にマッチさせ,転帰を比較した.パラメトリックポアソン回帰モデルを用いて感度分析を行った.
主要解析の対象はマッチさせたペア 182,122 組であった.4 回目接種後 7~30 日の時点での相対的なワクチン有効率は,PCR 検査で確認された SARS-CoV-2 感染の予防において 45%(95%信頼区間 [CI] 44~47),有症状の Covid-19 の予防において 55%(95% CI 53~58),Covid-19 関連入院の予防において 68%(95% CI 59~74),重症 Covid-19 の予防において 62%(95% CI 50~74),Covid-19 関連死の予防において 74%(95% CI 50~90)と推定された.4 回目接種後 14~30 日の時点でのそれぞれの推定値は,52%(95% CI 49~54),61%(95% CI 58~64),72%(95% CI 63~79),64%(95% CI 48~77),76%(95% CI 48~91)であった.4 回目接種後 7~30 日の時点での絶対リスクの差(3 回接種 対 4 回接種)は,Covid-19 関連入院については 100,000 人あたり 180.1 例(95% CI 142.8~211.9),重症 Covid-19 については 100,000 人あたり 68.8 例(95% CI 48.5~91.9)であった.感度分析では,記録された感染の予防における相対的有効性の推定値は,主要解析の結果と同程度であった.
BNT162b2 ワクチンの 4 回目接種は,4 ヵ月以上前に 3 回目接種を受けた人の Covid-19 関連転帰の短期リスクの低減に有効であった.(ハーバード大学医学部–クラリット研究所 アイバン&フランチェスカ・バーコウィッツ・ファミリー生活研究所共同プログラムから研究助成を受けた.)