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May 5, 2022 Vol. 386 No. 18

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Covid-19 患者に対するイベルメクチンによる早期治療の効果
Effect of Early Treatment with Ivermectin among Patients with Covid-19

G. Reis and Others

背景

新型コロナウイルス感染症(Covid-19)は,重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)によって引き起こされる疾患である.その急性症状で外来受診した患者の入院,および救急部での長時間の経過観察の予防におけるイベルメクチンの有効性は不明である.

方 法

ブラジルの 12 の公衆衛生クリニックで,症状があり SARS-CoV-2 陽性であった成人を対象として,二重盲検無作為化プラセボ対照適応的プラットフォーム試験を行った.Covid-19 の症状発現後 7 日以内であり,疾患進行の危険因子を少なくとも 1 つ有する患者を,イベルメクチン(400 mg/kg 体重)を 1 日 1 回 3 日間投与する群と,プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.(この試験ではほかの介入も行ったが,ここでは報告しない.) 主要複合転帰は,無作為化後 28 日以内の Covid-19 による入院,または無作為化後 28 日以内の Covid-19 の臨床的悪化による救急部受診(6 時間を超えて経過観察を受けることと定義)とした.

結 果

3,515 例を,イベルメクチン(679 例),プラセボ(679 例),その他の介入(2,157 例)に無作為に割り付けた.全体で,主要転帰イベントはイベルメクチン群の 100 例(14.7%)に発生したのに対し,プラセボ群では 111 例(16.3%)に発生した(相対リスク 0.90,95%ベイズ信用区間 0.70~1.16).主要転帰イベント 211 件のうち,171 件(81.0%)が入院であった.これらの結果は,イベルメクチンまたはプラセボの投与を少なくとも 1 回受けた患者のみを対象とした修正 intention-to-treat 解析の結果(相対リスク 0.89,95%ベイズ信用区間 0.69~1.15),および割り付けられたレジメンのアドヒアランス率が 100%であった患者のみを対象とした per-protocol 解析の結果(相対リスク 0.94,95%ベイズ信用区間 0.67~1.35)と同様であった.イベルメクチンの使用による副次的転帰,および有害事象への有意な影響は認められなかった.

結 論

早期に診断された Covid-19 の外来患者において,イベルメクチンによる治療は,Covid-19 の進行による入院および救急部での長時間の経過観察の発生率を低下させなかった.(ファストグランツ,レインウォーター慈善団体から研究助成を受けた.TOGETHER 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04727424)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 1721 - 31. )