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May 12, 2022 Vol. 386 No. 19

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多剤耐性 HIV-1 感染におけるレナカパビルによるカプシドの阻害
Capsid Inhibition with Lenacapavir in Multidrug-Resistant HIV-1 Infection

S. Segal-Maurer and Others

背景

多剤耐性ヒト免疫不全ウイルス 1 型(HIV-1)感染患者の治療選択肢は限られている.レナカパビル(lenacapavir)は,ファーストインクラスのカプシド阻害薬であり,第 1b 相試験では強い抗ウイルス活性を示している.

方 法

第 3 相試験で,多剤耐性 HIV-1 感染患者を組み入れ,スクリーニング時とコホート選定のための受診時とのあいだの血漿中 HIV-1 RNA 量の変化に基づき,2 つのコホートに分けた.コホート 1 では,ウイルス量に関して治療効果の得られていない患者を,14 日間の期間中にその治療に加えて,レナカパビルを経口投与する群とプラセボを投与する群に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.15 日目以降は維持期とし,レナカパビル群の患者にはレナカパビルの皮下投与を 6 ヵ月に 1 回行い,プラセボ群の患者にはレナカパビルの経口投与,その後レナカパビルの皮下投与を行った.両群には最適化した基礎治療も行った.コホート 2 では,全例に,1 日目~14 日目に最適化した基礎治療とともにレナカパビルの経口投与を非盲検で行い,15 日目以降はレナカパビルの皮下投与を 6 ヵ月に 1 回行った.主要エンドポイントは,コホート 1 における 15 日目までにウイルス量が 0.5 log10 コピー/mL 以上減少した患者の割合とし,主な副次的エンドポイントは 26 週目にウイルス量が 50 コピー/mL 未満の患者の割合とした.

結 果

72 例を組み入れ,各コホート 36 例であった.コホート 1 で,15 日目までにウイルス量が 0.5 log10 コピー/mL 以上減少したのは,レナカパビル群では 24 例中 21 例(88%),プラセボ群では 12 例中 2 例(17%)であった(絶対差 71 パーセントポイント,95%信頼区間 35~90).26 週目にウイルス量が 50 コピー/mL 未満の患者の割合は,コホート 1 では 81%,コホート 2 では 83%であり,CD4 陽性細胞数は最小二乗平均でそれぞれ 75/mm3,104/mm3 増加した.レナカパビルに関連する重篤な有害事象は認められなかった.両コホートで,維持期に,レナカパビルに関連したカプシドの配列置換が計 8 例に生じ(M66I 置換 6 例),感受性の低下を伴った.

結 論

多剤耐性 HIV-1 感染患者のうち,レナカパビルの投与を受けた患者では,プラセボの投与を受けた患者と比較して,ウイルス量がベースラインから大幅に低下した.(ギリアド・サイエンシズ社から研究助成を受けた.CAPELLA 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04150068)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 1793 - 803. )