小児および思春期児における BNT162b2 ワクチンのオミクロン株に対する防御効果
BNT162b2 Protection against the Omicron Variant in Children and Adolescents
A.M. Price and Others
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)の B.1.1.529 変異株(オミクロン株)の感染拡大により,米国では新型コロナウイルス感染症(Covid-19)による入院が増加し,小児および思春期児における免疫回避とワクチンによる防御期間について懸念が生じた.
検査陰性者を対照とする test-negative デザインを用いて,検査で確定した,入院にいたる Covid-19 の予防,および重篤な Covid-19(生命維持装置の使用,または死にいたるもの)の予防におけるワクチンの有効性を評価した.2021 年 7 月 1 日~2022 年 2 月 17 日に,米国 23 州の 31 病院で,Covid-19 に罹患した症例患者と,罹患していない対照を組み入れた.症例患者と対照とで,発症の 14 日以上前に完全接種(BNT162b2 メッセンジャー RNA ワクチンの 2 回接種)を受けているオッズを比較し,ワクチンの有効性を,12~18 歳の思春期児ではワクチン接種後の経過時間別,および B.1.617.2 変異株(デルタ株)の流行期に一致する期間(2021 年 7 月 1 日~12 月 18 日)とオミクロン株の流行期に一致する期間(2021 年 12 月 19 日~2022 年 2 月 17 日)について推定し,5~11 歳の小児ではオミクロン株の流行期に一致する期間についてのみ推定した.
症例患者 1,185 例(このうちワクチン未接種者は 1,043 例 [88%] で,291 例 [25%] が生命維持装置の使用,14 例が死にいたった),対照 1,627 例を組み入れた.デルタ株優勢期間中,12~18 歳の思春期児の Covid-19 による入院の予防におけるワクチンの有効率は,接種後 2~22 週で 93%(95%信頼区間 [CI] 89~95),23~44 週で 92%(95% CI 80~97)であった.オミクロン株優勢期間中,12~18 歳の思春期児(ワクチン接種後の期間の中央値 162 日)の Covid-19 による入院の予防における有効率は 40%(95% CI 9~60),重篤な Covid-19 の予防における有効率は 79%(95% CI 51~91),重篤ではない Covid-19 の予防における有効率は 20%(95% CI -25~49)であった.オミクロン株優勢期間中,5~11 歳の小児の入院の予防における有効率は 68%(95% CI 42~82,接種後の期間の中央値 34 日)であった.
BNT162b2 ワクチン接種により,5~11 歳の小児におけるオミクロン株関連入院のリスクは 2/3 低下した.12~18 歳の思春期児では,2 回接種によるオミクロン株関連入院の予防における有効性は,デルタ株関連入院の予防における有効性よりも低かったが,ワクチン接種はいずれの変異株による重篤な Covid-19 も予防した.(米国疾病対策予防センターから研究助成を受けた.)