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January 20, 2022 Vol. 386 No. 3

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1 型糖尿病の低年齢児におけるクローズドループコントロールの無作為化試験
Randomized Trial of Closed-Loop Control in Very Young Children with Type 1 Diabetes

J. Ware and Others

背景

1 型糖尿病の低年齢児において,ハイブリッドクローズドループインスリン送達療法(すなわち人工膵臓)が,センサー付きインスリンポンプ(SAP)療法よりも優れている可能性は明らかにされていない.

方 法

多施設共同無作為化クロスオーバー試験において,オーストリア,ドイツ,ルクセンブルク,英国の 7 施設で,インスリンポンプ療法中の 1~7 歳の 1 型糖尿病児を組み入れた.16 週の期間 2 回で,参加者にクローズドループシステムと SAP 療法(対照)による治療を無作為な順序で行い,比較した.主要エンドポイントは,16 週の各期間にセンサーで測定した血糖値が目標範囲(70~180 mg/dL)にあった時間の割合の, 治療間の差とした. 解析は intention-to-treat の原則に基づいて行った.主な副次的エンドポイントは,高血糖状態(血糖値>180 mg/dL)にあった時間の割合,糖化ヘモグロビン値,センサー上の平均血糖値,低血糖状態(血糖値<70 mg/dL)にあった時間の割合などとした.安全性も評価した.

結 果

74 例が無作為化された.参加者の平均(±SD)年齢は 5.6±1.6 歳であり,ベースライン時の糖化ヘモグロビン値は 7.3±0.7%であった.血糖値が目標値に達していた時間の割合は,クローズドループ期間中のほうが対照期間中よりも 8.7 パーセントポイント(95%信頼区間 [CI] 7.4~9.9)高かった(P<0.001).高血糖状態にあった時間の割合の補正後の平均差(クローズドループ-対照)は -8.5 パーセントポイント(95% CI -9.9~-7.1),糖化ヘモグロビン値の補正後の平均差は -0.4 パーセントポイント(95% CI -0.5~-0.3),センサー上の平均血糖値の補正後の平均差は -12.3 mg/dL(95% CI -14.8~-9.8)であった(すべての比較で P<0.001).低血糖状態にあった時間は,2 つの治療法で同程度であった(P=0.74).16 週のクローズドループ期間中にシステムがクローズドループモードであった時間の割合の中央値は 95%(四分位範囲 92~97)であった.クローズドループ期間中に,重篤な有害事象である重症低血糖が 1 件発現した.治療には関連しないとみなされた重篤な有害事象が 1 件発現した.

結 論

ハイブリッドクローズドループシステムにより,1 型糖尿病の低年齢児の血糖コントロールが有意に改善し,低血糖状態にあった時間は増加しなかった.(欧州委員会ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03784027)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 209 - 19. )