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June 9, 2022 Vol. 386 No. 23

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Covid-19 の予防に用いる AZD7442(チキサゲビマブ–シルガビマブ)の筋肉内投与
Intramuscular AZD7442 (Tixagevimab–Cilgavimab) for Prevention of Covid-19

M.J. Levin and Others

背景

モノクローナル抗体の併用療法である AZD7442 は,重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)に対する 2 つの中和抗体,チキサゲビマブ(tixagevimab)とシルガビマブ(cilgavimab)で構成される.この製剤は半減期が長く,動物モデルでは予防効果と治療効果が示されている.ヒトにおける薬物動態データでは,半減期は約 90 日であることが示されている.

方 法

進行中の第 3 相試験で,新型コロナウイルス感染症(Covid-19)のワクチン接種に十分に反応しないリスクが高いか,SARS-CoV-2 に曝露するリスクが高いか,その両方である成人(18 歳以上)を登録した.参加者を,AZD7442 300 mg を単回投与する(連続 2 回の筋肉内注射で,1 回はチキサゲビマブ,もう 1 回はシルガビマブを投与する)群と,生理食塩水のプラセボを投与する群に 2:1 の割合で無作為に割り付け,主要解析では最長 183 日間追跡した.主要安全性エンドポイントは,AZD7442 の単回投与後の有害事象の発現率とした.主要有効性エンドポイントは,AZD7442 またはプラセボの投与後 183 日目までに発生した有症状の Covid-19(逆転写 PCR 法により確認された SARS-CoV-2 感染)とした.

結 果

5,197 例が無作為化され(AZD7442 群 3,460 例,プラセボ群 1,737 例),AZD7442 またはプラセボの単回投与を受けた.主要解析は,参加者の 30%が自身の割付群を知った後に実施した.全体で,AZD7442 の投与を受けた 3,461 例中 1,221 例(35.3%)と,プラセボの投与を受けた 1,736 例中 593 例(34.2%)が少なくとも 1 件の有害事象を報告し,重症度は大部分が軽度または中等度であった.有症状の Covid-19 は,AZD7442 群の 3,441 例中 8 例(0.2%)と,プラセボ群の 1,731 例中 17 例(1.0%)で発生した(相対リスク減少 76.7%,95%信頼区間 [CI] 46.0~90.0,P<0.001).より長期の追跡では,中央値 6 ヵ月の時点で 82.8%の相対リスク減少が示された(95% CI 65.8~91.4).重症または重篤な Covid-19 が 5 例,Covid-19 関連死が 2 例発生し,いずれもプラセボ群であった.

結 論

AZD7442 の単回投与は,Covid-19 の予防に有効であり,明らかな安全性の懸念は認められなかった.(アストラゼネカ社,米国政府から研究助成を受けた.PROVENT試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04625725)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 2188 - 200. )