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June 16, 2022 Vol. 386 No. 24

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ステージ II 結腸癌に対する術後補助療法の指標となる血中循環腫瘍 DNA 解析
Circulating Tumor DNA Analysis Guiding Adjuvant Therapy in Stage II Colon Cancer

J. Tie and Others

背景

ステージ II 結腸癌に対する術後補助化学療法の役割については議論が続いている.術後に血中循環腫瘍 DNA(ctDNA)が存在する場合,無再発生存率は非常に低いと予測されるが,存在しない場合,再発リスクは低いと予測される.ctDNA 陽性患者における術後補助化学療法の利益は十分に解明されていない.

方 法

ctDNA を指標とするアプローチにより,再発リスクを上昇させることなく術後補助化学療法の実施を減らせるかどうかを評価する試験を行った.ステージ II 結腸癌患者を,ctDNA 解析の結果を指標として治療の意思決定を行う群と,標準的な臨床病理学的特徴を指標として治療の意思決定を行う群に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.ctDNA を指標とする管理では,術後 4 週または 7 週の時点における ctDNA 解析で陽性であった場合に,オキサリプラチンベースの化学療法またはフルオロピリミジン系薬単剤による化学療法を行った.ctDNA 陰性患者には治療を行わなかった.主要有効性エンドポイントは,2 年無再発生存率とした.重要な副次的エンドポイントは,術後補助化学療法の実施とした.

結 果

無作為化された 455 例のうち,302 例が ctDNA を指標とする管理を行う群,153 例が標準的管理を行う群に割り付けられた.追跡期間の中央値は 37 ヵ月であった.術後補助化学療法を受けた患者の割合は,ctDNA 指標管理群のほうが標準的管理群よりも低かった(15% 対 28%,相対リスク 1.82,95%信頼区間 [CI] 1.25~2.65).2 年無再発生存率の評価では,ctDNA を指標とする管理は,標準的管理に対して非劣性であった(それぞれ 93.5%と 92.4%,絶対差 1.1 パーセントポイント,95% CI -4.1~6.2 [非劣性マージン -8.5 パーセントポイント]).3 年無再発生存率は,術後補助化学療法を受けた ctDNA 陽性患者で 86.4%,受けなかった ctDNA 陰性患者で 92.5%であった.

結 論

ステージ II 結腸癌の治療を,ctDNA を指標として決定するアプローチにより,無再発生存率を低下させることなく,術後補助化学療法の実施が減少した.(オーストラリア国立保健医療研究評議会ほかから支援を受けた.DYNAMIC 試験:Australian New Zealand Clinical Trials Registry 番号 ACTRN12615000381583)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 2261 - 72. )