2019 年のボリビアにおけるチャパレ出血熱と齧歯類におけるウイルス検出
Chapare Hemorrhagic Fever and Virus Detection in Rodents in Bolivia in 2019
R. Loayza Mafayle and Others
2019 年 6 月,ボリビア保健省は,カラナビ地区で始まり,首都ラパスまで拡大した出血熱症例のクラスターを報告した.これらの症例の原因は不明であった.
次世代シーケンシングとウイルス分離のための検体を採取した.ヒト検体と齧歯類検体で,ウイルス特異的リアルタイム定量的逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応検査,次世代シーケンシング,ウイルス分離を行った.
出血熱症例は 9 例で同定され,このうち 4 例が死亡した.病原体は,Mammarenavirus Chapare mammarenavirus,すなわちチャパレ出血熱(CHHF)を引き起こすチャパレウイルス(CHAPV)と同定された.医療従事者間の院内感染がほぼ確実であることが示された.CHHF 患者の一部には神経症状も認められ,生存した患者では回復に要する期間が長かった.CHAPV RNA は,種々のヒト体液(血液,尿,鼻咽頭ぬぐい液,口咽頭ぬぐい液,気管支肺胞洗浄液,結膜ぬぐい液,精液など)と,捕獲したコミミピグミーライスラット(Oligoryzomys microtis)から採取した検体で検出された.CHHF の生存例では,ウイルス RNA は症状発現後最長 170 日間検出され,CHAPV は症状発現後 86 日目に採取した精液検体 1 例から分離された.
M. Chapare mammarenavirus が,CHHF の病原体として同定された.人獣共通感染症の病原体保有動物からのスピルオーバー(種を超えての感染)と,ヒト–ヒト伝播の可能性の両方が確認された.このウイルスは,齧歯類の一種である O. microtis で検出された.(ボリビア保健省ほかから研究助成を受けた.)