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January 27, 2022 Vol. 386 No. 4

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未治療のびまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫に対するポラツズマブ ベドチン
Polatuzumab Vedotin in Previously Untreated Diffuse Large B-Cell Lymphoma

H. Tilly and Others

背景

びまん性大細胞型 B 細胞リンパ腫(DLBCL)は通常,リツキシマブ,シクロホスファミド,ドキソルビシン,ビンクリスチン,プレドニゾン(prednisone)(R-CHOP 療法)で治療される.しかし,R-CHOP 療法で治癒する患者は 60%のみである.ポラツズマブベドチンは,悪性 B 細胞の表面に普遍的に発現する CD79b を標的とする抗体薬物複合体である.

方 法

未治療の中リスクまたは高リスクの DLBCL 患者において,R-CHOP 療法のビンクリスチンをポラツズマブ ベドチンに置き換える修正レジメン(pola-R-CHP 療法)を,標準的な R-CHOP 療法と比較検討する二重盲検プラセボ対照国際共同第 3 相試験を行った.18~80 歳の患者を,最初の 6 サイクルで pola-R-CHP 療法を行う群と R-CHOP 療法を行う群に 1:1 の割合で無作為に割り付け,さらに 2 サイクルのリツキシマブ単独投与を行った.主要エンドポイントは試験担当医師が評価した無増悪生存とした.副次的エンドポイントは全生存,安全性などとした.

結 果

879 例が無作為化され,440 例が pola-R-CHP 群に,439 例が R-CHOP 群に割り付けられた.追跡期間中央値 28.2 ヵ月の時点で,増悪を認めず生存している患者の割合は,pola-R-CHP 群のほうが R-CHOP 群よりも有意に高かった(2 年の時点で 76.7% [95%信頼区間{CI}72.7~80.8] 対 70.2% [95% CI 65.8~74.6];Cox 回帰による増悪・再発・死亡の層別化ハザード比 0.73,95% CI 0.57~0.95;P=0.02).2 年の時点での全生存割合に群間で有意差は認められなかった(pola-R-CHP 群 88.7% [95% CI 85.7~91.6],R-CHOP 群 88.6%[95% CI 85.6~91.6];死亡のハザード比 0.94,95% CI 0.65~1.37;P=0.75).安全性プロファイルは 2 群で同様であった.

結 論

未治療の中リスクまたは高リスクの DLBCL 患者において,増悪,再発,死亡のリスクは,pola-R-CHP 療法を受けた患者のほうが R-CHOP 療法を受けた患者よりも低かった.(エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社/ジェネンテック社から研究助成を受けた.POLARIX 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03274492)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 351 - 63. )