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February 17, 2022 Vol. 386 No. 7

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鎌状赤血球症に対する LentiGlobin の生物学的有効性と臨床的有効性
Biologic and Clinical Efficacy of LentiGlobin for Sickle Cell Disease

J. Kanter and Others

背景

鎌状赤血球症の特徴は,疼痛を伴う血管閉塞イベントを繰り返すことである.鎌状赤血球症に対する LentiGlobin(bb1111;ロボティベグロジーン オートテムセル)を用いた遺伝子治療では,改変βグロビン遺伝子をコードする BB305 レンチウイルスベクターで遺伝子導入した造血幹細胞および前駆細胞を自家移植し,抗鎌状化ヘモグロビンである HbAT87Q を産生させる.

方 法

現在進行中の第 1・2 相試験で,鎌状赤血球症患者の初期コホートの A 群 7 例と B 群 2 例で治療プロセスを最適化した.鎌状赤血球症に対する LentiGlobin の主要評価のために C 群を設定し,登録前の 24 ヵ月間に重度の血管閉塞イベントが 4 件以上発生していることを要件とする,より厳格な組入れ基準を適用した.事前に規定していなかったこの中間解析では,C 群に登録された 35 例における LentiGlobin の安全性と有効性を評価した.この解析では,登録前 24 ヵ月間の重度の血管閉塞イベント発生数が 4 件以上,追跡期間が 6 ヵ月以上の患者における LentiGlobin 注入後の同イベント発生数などを検討した.

結 果

2021 年 2 月の時点で,C 群の 43 例で細胞採取が開始され,35 例が LentiGlobin の注入を受け,追跡期間中央値は 17.3 ヵ月(範囲 3.7~37.6)であった.35 例全例で生着が認められた.総ヘモグロビン濃度の中央値は,ベースライン時の 8.5 g/dL から注入後 6 ヵ月の時点では 11 g/dL 以上に上昇し,36 ヵ月の時点でも維持されていた.HbAT87Q はヘモグロビン全体の 40%以上を占め,赤血球の平均(±SD)85±8%に分布していた.溶血マーカーは低下していた.評価しえた 25 例では,重度の血管閉塞イベントは,登録前の 24 ヵ月間には中央値で年間 3.5 件(範囲 2.0~13.5)発生していたが,全例で発生しなかった.LentiGlobin に関連する,または関連する可能性のある重篤でない有害事象が 3 例に発現したが,発現後 1 週間以内に消失した.最長 37.6 ヵ月の追跡期間中,造血器腫瘍の症例は確認されなかった.

結 論

LentiGlobin による単回治療の結果,赤血球の大部分で HbAT87Q の産生が維持され,溶血の減少と,重度の血管閉塞イベントの完全消失が得られた.(ブルーバード バイオ社から研究助成を受けた.HGB-206 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02140554)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 617 - 28. )