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February 24, 2022 Vol. 386 No. 8

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思春期児における BNT162b2 ワクチンの重篤な Covid-19 の予防における有効性
Effectiveness of BNT162b2 Vaccine against Critical Covid-19 in Adolescents

S.M. Olson and Others

背景

米国で,重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)の B.1.617.2 変異株(デルタ株)による新型コロナウイルス感染症(Covid-19)に関連する小児科入院の発生率が増加したことで,12~18 歳の思春期児におけるメッセンジャー RNA ワクチン BNT162b2 の,リアルワールドでの有効性を評価する機会が得られた.

方 法

検査陰性者を対照とする test-negative デザインを用いて,入院,集中治療室(ICU)入室,生命維持のための介入(人工呼吸管理,昇圧薬,体外式膜型人工肺)の実施,死亡のいずれかにいたった Covid-19 に対するワクチンの有効性を評価した.2021 年 7 月 1 日~10 月 25 日に,23 州の 31 病院で入院記録をスクリーニングし,検査で確認された Covid-19 を有する適格な症例患児を同定した.症例患児が事前にワクチン接種を完了(BNT162b2 ワクチンを 2 回接種)しているオッズを,Covid-19 様症状があったが SARS-CoV-2 検査で陰性であった患児(検査陰性)と,Covid-19 様症状のなかった患児(症状陰性)の,病院ベースの 2 つの対照群と比較することで,ワクチンの有効性を推定した.

結 果

症例 445 例,対照 777 例を組み入れた.全体で,ワクチン接種を完了していたのは症例 17 例(4%),対照 282 例(36%)であった.症例患児の 180 例(40%)が ICU に入室し,127 例(29%)が生命維持を要した.ICU に入室した症例患児のうち,ワクチン接種を完了していたのは 2 例のみであった.Covid-19 による入院に対する BNT162b2 ワクチンの有効性は,全体では 94%(95%信頼区間 [CI] 90~96)であり,検査陰性の対照群との比較では 95%(95% CI 91~97),症状陰性の対照群との比較では 94%(95% CI 89~96)であった.ICU 入室に対する有効性は 98%であり,生命維持にいたった Covid-19 に対する有効性は 98%であった.死亡した 7 例はいずれもワクチン未接種の症例患児であった.

結 論

思春期の入院患児において,BNT162b2 ワクチンの 2 回接種は,Covid-19 に関連する入院,ICU 入室,生命維持の予防に非常に有効であった.(米国疾病対策センターから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 713 - 23. )