October 13, 2022 Vol. 387 No. 15
デンマーク心血管スクリーニング(DANCAVAS)試験の 5 年転帰
Five-Year Outcomes of the Danish Cardiovascular Screening (DANCAVAS) Trial
J.S. Lindholt and Others
人口ベースの心血管疾患スクリーニングには,死亡リスクに対する効果があることを示唆するデータは限られている.
デンマークの 15 の自治体に居住する 65~74 歳の男性を対象として,人口ベースの並行群間無作為化比較試験を行った.参加者を,潜在性心血管疾患のスクリーニングの案内をする群(案内群)と案内をしない群(対照群)に,1:2 の割合で無作為に割り付けた.無作為化は,コンピュータで発生させた乱数を用いて,自治体で層別化して行った.対照群にのみ,試験群の割付けを知らせなかった.スクリーニングでは,冠動脈石灰化スコアの算出と動脈瘤・心房細動の検出を目的とした心電図同期単純 CT,末梢動脈疾患・高血圧の検出を目的とした足関節上腕血圧測定,糖尿病・高コレステロール血症の検出を目的とした血液検査などを行った.主要転帰は全死因死亡とした.
46,611 例が無作為化された.スクリーニングの案内をする前に死亡または転出していた 85 例が除外され,最終的に案内群は 16,736 例,対照群は 29,790 例となり,案内群の 10,471 例(62.6%)がスクリーニングを受けた.intention-to-treat 解析では,追跡期間中央値 5.6 年の時点で,案内群の 2,106 例(12.6%)と,対照群の 3,915 例(13.1%)が死亡していた(ハザード比 0.95,95%信頼区間 [CI] 0.90~1.00,P=0.06).案内群における脳卒中の対照群に対するハザード比は 0.93(95% CI 0.86~0.99)であり,心筋梗塞は 0.91(95% CI 0.81~1.03),大動脈解離は 0.95(95% CI 0.61~1.49),大動脈破裂は 0.81(95% CI 0.49~1.35)であった.安全性転帰に群間で有意差は認められなかった.
65~74 歳の男性に対して,包括的な心血管疾患スクリーニングの案内をしても,5 年超が経過した時点で,全死因死亡率は有意には低下しなかった.(南デンマーク地域ほかから研究助成を受けた.DANCAVAS 試験:ISRCTN 登録番号 ISRCTN12157806)