November 10, 2022 Vol. 387 No. 19
ICU における人工呼吸管理中の積極的な早期離床
Early Active Mobilization during Mechanical Ventilation in the ICU
The TEAM Study Investigators and the ANZICS Clinical Trials Group
集中治療室(ICU)関連筋力低下は,侵襲的人工呼吸管理を受けている患者によくみられる.積極的な早期離床により,ICU 関連筋力低下が抑制され,生存日数が増加し,障害が減少する可能性がある.
ICU で侵襲的人工呼吸管理を受けている成人患者 750 例を,早期離床(鎮静を最小限にし,毎日理学療法を行う)群と,通常ケア(各 ICU の通常レベルの離床を行う)群に無作為に割り付けた.主要転帰は,無作為化後 180 日の時点での,生存し退院している日数とした.
生存し退院している日数の中央値は,早期離床群 143 日(四分位範囲 21~161),通常ケア群 145 日(四分位範囲 51~164)であった(絶対差 -2.0 日,95%信頼区間 [CI] -10~6,P=0.62).1 日あたりの積極的な離床時間の平均(±SD)は,それぞれ 20.8±14.6 分,8.8±9.0 分であった(差 12.0 分/日,95% CI 10.4~13.6).両群とも,患者の 77%が,それぞれ無作為化後中央値 3 日,5 日で立位可能となった(差 -2 日,95% CI -3.4~-0.6).180 日目までに,早期離床群の 22.5%と,通常ケア群の 19.5%が死亡していた(オッズ比 1.15,95% CI 0.81~1.65).生存者の QOL,日常生活動作,障害,認知機能,心理学的機能は,2 群で同程度であった.重篤な有害事象は,早期離床群の 7 例と通常ケア群の 1 例に発現した.離床に関連する可能性のある有害事象(不整脈,血圧の変化,酸素飽和度の低下)は,早期離床群の 371 例中 34 例(9.2%),通常ケア群の 370 例中 15 例(4.1%)に発現した(P=0.005).
ICU で人工呼吸管理を受けている成人のうち,積極的な早期離床が行われた患者では,その ICU の通常レベルの離床が行われた患者と比較して,生存し退院している日数は有意に増加しなかった.この介入は有害事象の増加と関連した.(オーストラリア国立保健医療研究評議会,ニュージーランド保健研究評議会から研究助成を受けた.TEAM 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03133377)