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November 17, 2022 Vol. 387 No. 20

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圧支持換気を用いた自発呼吸トライアルと T ピースを用いた自発呼吸トライアルとの比較
Spontaneous-Breathing Trials with Pressure-Support Ventilation or a T-Piece

A.W. Thille and Others

背景

自発呼吸トライアルは,圧支持換気(PSV)または T ピースを用いて実施することができる.PSV を用いた場合に,T ピースを用いた場合と比較して,抜管失敗のリスクが高い患者の再挿管のリスクを高めることなく,気管内チューブ抜管までの期間を短縮させるかどうかは明らかにされていない.

方 法

多施設共同非盲検試験で,抜管失敗のリスクが高い(65 歳超,または基礎疾患に慢性心疾患もしくは慢性呼吸器疾患を有する)患者を,自発呼吸トライアルを PSV(圧支持 8 cmH2O,呼気終末陽圧なし)を用いて行う群と,T ピースを用いて行う群に無作為に割り付けた.主要転帰は,初回自発呼吸トライアル後 28 日の時点での,侵襲的換気を受けていない期間の合計(人工呼吸器非使用日数として報告する)とした.副次的転帰は,初回自発呼吸トライアル後 24 時間以内の抜管,7 日以内の抜管,抜管後 7 日以内の再挿管などとした.

結 果

解析対象は 969 例(PSV 群 484 例,T ピース群 485 例)であった.28 日の時点での人工呼吸器非使用日数の中央値は,PSV 群で 27 日(四分位範囲 24~27),T ピース群で 27 日(四分位範囲 23~27)であった(差 0 日,95%信頼区間 [CI] -0.5~1,P=0.31).24 時間以内に抜管された患者数は,PSV 群では 376 例(77.7%),T ピース群では 350 例(72.2%)であり(差 5.5 パーセントポイント,95% CI 0.01~10.9),7 日以内に抜管された患者数はそれぞれ 473 例(97.7%),458 例(94.4%)であった(差 3.3 パーセントポイント,95% CI 0.8~5.9).再挿管は PSV 群の 481 例中 72 例(14.9%)と,T ピース群の 477 例中 65 例(13.6%)に行われた(差 1.3 パーセントポイント,95% CI -3.1~5.8).再挿管は,9 例では心停止または呼吸停止が原因であった(PSV 群 3 例,T ピース群 6 例).

結 論

抜管失敗のリスクが高い患者において,自発呼吸トライアルを PSV を用いて行った場合,T ピースを用いて行った場合と比較して,28 日の時点での人工呼吸器非使用日数は有意な増加はみられなかった.(フランス保健省から研究助成を受けた.TIP-EX 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04227639)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 1843 - 54. )