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July 21, 2022 Vol. 387 No. 3

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5~11 歳児のオミクロン株感染予防における BNT162b2 ワクチンの有効性
BNT162b2 Vaccine Effectiveness against Omicron in Children 5 to 11 Years of Age

C.J. Cohen-Stavi and Others

背景

BNT162b2 ワクチンの新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の予防,とくに 5~11 歳児のオミクロン株感染予防における,実社会での有効性に関するエビデンスは限られている.

方 法

オミクロン株の流行中に新たにワクチン接種を受けた小児における BNT162b2 ワクチンの有効性を推定するため,イスラエル最大の医療組織のデータを用いて,2021 年 11 月 23 日以降にワクチン接種を受けた 5~11 歳児のコホートを同定し,ワクチン未接種の対照とマッチさせた.検査で確認された重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)感染の予防,および有症状の Covid-19 の予防におけるワクチンの有効性を,初回接種後と 2 回目接種後に推定した.接種群と未接種群における,2022 年 1 月 7 日までの各転帰の累積発生率を Kaplan–Meier 推定量を用いて推定し,ワクチンの有効性を 1 からリスク比を引いた値として算出した.年齢別の 3 つのサブグループでもワクチンの有効性を推定した.

結 果

研究期間中にワクチン接種を受けた適格な小児 136,127 例のうち,94,728 例がワクチン未接種の対照とマッチした.検査で確認された感染の予防におけるワクチンの有効率の推定値は,初回接種後 14~27 日で 17%(95%信頼区間 [CI] 7~25),2 回目接種後 7~21 日で 51%(95% CI 39~61)であった.2 回目接種後 7~21 日目における 2 群間の絶対リスク差は,検査で確認された感染については 100,000 人あたり 1,905 件(95% CI 1,294~2,440),有症状の Covid-19 については 100,000 人あたり 599 件(95% CI 296~897)であった.有症状の Covid-19 の予防におけるワクチンの有効率の推定値は,初回接種後 14~27 日で 18%(95% CI -2~34),2 回目接種後 7~21 日で 48%(95% CI 29~63)であった.ワクチンの有効性は,年齢がもっとも低いサブグループ(5 歳または 6 歳)のほうが,年齢がもっとも高いサブグループ(10 歳または 11 歳)よりも高い傾向が認められた.

結 論

これらの知見から,オミクロン株が優勢株になりつつあるなかで,5~11 歳児における BNT162b2 メッセンジャー RNA ワクチンの 2 回接種は,検査で確認された SARS-CoV-2 感染および有症状の Covid-19 に対して,中等度の防御効果を付与したことが示唆される.(VERDI プロジェクトを通じた欧州連合ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 227 - 36. )