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July 28, 2022 Vol. 387 No. 4

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中高年以上におけるビタミン D 摂取と骨折の発生
Supplemental Vitamin D and Incident Fractures in Midlife and Older Adults

M.S. LeBoff and Others

背景

ビタミン D サプリメントは,一般集団の骨の健康のために広く推奨されている.しかしそれが骨折を予防するかに関して,データは一致していない.

方 法

ビタミン D・ω3 試験(VITAL 試験)の付随試験で,ビタミン D3 摂取により,プラセボと比較して骨折のリスクが低下するかどうかを検証した.VITAL 試験は 2×2 要因デザインの無作為化比較試験であり,米国の 50 歳以上の男性と 55 歳以上の女性を対象に,ビタミン D3(2,000 IU/日),n–3 系脂肪酸(1 g/日),またはその両方の摂取により,癌および心血管疾患を予防できるかどうかを検討した.ビタミン D 欠乏症,低骨量,骨粗鬆症は選択基準ではなかった.骨折の発生は,参加者が年 1 回の質問票で回答し,中央での診療録レビューにより判定した.主要エンドポイントは,全骨折,非椎体骨折,大腿骨近位部骨折の発生とした.intention-to-treat 解析では,比例ハザードモデルを用いて治療効果を推定した.

結 果

25,871 例が無作為化され(女性 50.6% [25,871 例中 13,085 例],黒人 20.2% [25,304 例中 5,106 例]),追跡期間中央値 5.3 年の時点で,1,551 例に 1,991 件の骨折が発生していた.ビタミン D3 摂取には,プラセボと比較して,全骨折に対する有意な効果は認められず(ビタミン D 群の 12,927 例中 769 例,プラセボ群の 12,944 例中 782 例に発生;ハザード比 0.98,95%信頼区間 [CI] 0.89~1.08,P=0.70),非椎体骨折についても(ハザード比 0.97,95% CI 0.87~1.07,P=0.50),大腿骨近位部骨折についても認められなかった(ハザード比 1.01,95% CI 0.70~1.47,P=0.96).年齢,性別,人種・民族,体格指数,血清 25-ヒドロキシビタミン D 濃度などの,患者背景による治療効果の修飾は認められなかった.親試験で評価されたとおり,有害事象に大きな群間差は認められなかった.

結 論

ビタミン D 欠乏症,低骨量,骨粗鬆症で選択していない,おおむね健康な中高年以上の人々では,ビタミン D3 摂取により,プラセボと比較して骨折のリスクが有意に低下することはなかった.(米国国立関節炎・骨軟部疾患・皮膚疾患研究所から研究助成を受けた.VITAL 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01704859)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 299 - 309. )