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April 4, 2024 Vol. 390 No. 13

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慢性腎臓病の入院率に関する実用的試験
Pragmatic Trial of Hospitalization Rate in Chronic Kidney Disease

M.A. Vazquez and Others

背景

慢性腎臓病,2 型糖尿病,高血圧(腎機能障害をきたす 3 疾患)を有する患者には,有効な治療法が存在するにもかかわらず,この集団の死亡と合併症のリスクを低減させるための,ガイドラインに基づく治療の実装に関する大規模試験の結果は少ない.

方 法

非盲検クラスター無作為化試験で,141 ヵ所のプライマリケア施設で治療中の,腎機能障害をきたす 3 疾患を有する患者 11,182 例を,患者を同定するためのアルゴリズム(患者の電子健康記録 [EHR] に基づく)と,医療従事者がガイドラインに基づく介入を行えるように支援する「診療推進者」を導入して介入を行う群と,通常診療を行う群に割り付けた.主要転帰は,1 年の時点でのあらゆる原因による入院とした.副次的転帰は,救急部受診,再入院,心血管イベント,透析,死亡などとした.

結 果

71 施設(5,690 例を登録)を介入群,70 施設(5,492 例を登録)を通常診療群に割り付けた.1 年の時点での入院率は,介入群で 20.7%(95%信頼区間 [CI] 19.7~21.8),通常診療群で 21.1%(95% CI 20.1~22.2)であった(群間差 0.4 パーセントポイント,P=0.58).救急部受診,再入院,心血管イベント,透析,全死因死亡のリスクは,2 群で同程度であった.有害事象のリスクも,急性腎障害を除いて試験群間で同程度であった.急性腎障害は,介入群の患者により多く認められた(12.7% 対 11.3%).

結 論

慢性腎臓病,2 型糖尿病,高血圧の 3 疾患を有する患者を対象とした今回の実用的試験では,プライマリケア施設に EHR に基づくアルゴリズムと診療推進者を導入しても,1 年の時点での入院の減少にはつながらなかった.(米国国立衛生研究所ほかから研究助成を受けた.ICD-Pieces 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02587936)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 1196 - 206. )