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May 9, 2024 Vol. 390 No. 18

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重症鎌状赤血球症に対するエクサガムグロジーン オートテムセル
Exagamglogene Autotemcel for Severe Sickle Cell Disease

H. Frangoul and Others

背景

エクサガムグロジーン オートテムセル(exagamglogene autotemcel [exa-cel])は,胎児ヘモグロビン合成を再活性化するようデザインされた非ウイルス性細胞療法であり,生体外で「クラスター化された,規則的に間隔があいた短い回文構造の繰り返し(CRISPR)」–Cas9 を用いて,自己 CD34 陽性造血幹細胞・前駆細胞(HSPCs)の BCL11A の赤血球系特異的エンハンサー領域をゲノム編集する.

方 法

鎌状赤血球症を有し,重度の血管閉塞発作がスクリーニング前の 2 年間に年 2 回以上あった 12~35 歳の患者を対象として,exa-cel の第 3 相単群非盲検試験を行った.CRISPR-Cas9 を用いて CD34 陽性 HSPCs の編集を行った.exa-cel 注入前に,薬物動態に基づいて用量を調整したブスルファンによる骨髄破壊的前処置を行った.主要エンドポイントは,重度の血管閉塞発作が連続 12 ヵ月以上発生していないこととした.重要な副次的エンドポイントは,重度の血管閉塞発作による入院が連続 12 ヵ月以上発生していないことした.exa-cel の安全性も評価した.

結 果

44 例が exa-cel の注入を受け,追跡期間の中央値は 19.3 ヵ月(範囲 0.8~48.1)であった.各患者で,好中球と血小板の生着が得られた.評価に十分な期間追跡された 30 例のうち,29 例(97%,95%信頼区間 [CI] 83~100)で,血管閉塞発作が連続 12 ヵ月以上発生せず,30 例全例(100%,95% CI 88~100)で,血管閉塞発作による入院が連続 12 ヵ月以上発生しなかった(両比較の P<0.001 で奏効割合 50%という帰無仮説は棄却).exa-cel の安全性プロファイルは,ブスルファンによる骨髄破壊的前処置,および自己 HSPC 移植とおおむね一致していた.癌は発生しなかった.

結 論

exa-cel による治療により,鎌状赤血球症患者の 97%で,12 ヵ月以上の期間中,血管閉塞発作は発生しなかった.(CLIMB SCD-121 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03745287)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 1649 - 62. )