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May 16, 2024 Vol. 390 No. 19

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オレザルセン,急性膵炎,家族性高カイロミクロン血症症候群
Olezarsen, Acute Pancreatitis, and Familial Chylomicronemia Syndrome

E.S.G. Stroes and Others

背景

家族性高カイロミクロン血症症候群は,重症高トリグリセリド血症と重症急性膵炎を伴う遺伝性疾患である.オレザルセン(olezarsen)は,肝臓でのアポリポ蛋白 C-III 合成を抑制することで血漿トリグリセリド値を低下させる.

方 法

第 3 相二重盲検プラセボ対照試験で,遺伝学的に同定された家族性高カイロミクロン血症症候群患者を,オレザルセン 80 mg 群,オレザルセン 50 mg 群,プラセボ群に無作為に割り付け,4 週ごとに 49 週間皮下投与した.主要エンドポイントは 2 つで,空腹時トリグリセリド値のベースラインから 6 ヵ月までの変化(%)の,オレザルセン 80 mg 群とプラセボ群との差と,オレザルセン 50 mg 群とプラセボ群との差(1 つ目の主要エンドポイントが有意であった場合に評価)とした.副次的エンドポイントは,アポリポ蛋白 C-III 値のベースラインからの変化(%)の平均,独立に判定された急性膵炎エピソードなどとした.

結 果

66 例が無作為化され,22 例がオレザルセン 80 mg 群,21 例が 50 mg 群,23 例がプラセボ群に割り付けられた.ベースラインの時点で,トリグリセリド値の平均(±SD)は 2,630±1,315 mg/dL であり,71%に過去 10 年間に急性膵炎の既往があった.6 ヵ月の時点でのトリグリセリド値は,オレザルセン 80 mg 群では,プラセボ群と比較して有意に低下したが(-43.5 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -69.1~-17.9,P<0.001),50 mg 群では有意には低下しなかった(-22.4 パーセントポイント,95% CI -47.2~2.5,P=0.08).アポリポ蛋白 C-III 値のベースラインから 6 ヵ月までの変化(%)の平均値の差は,オレザルセン 80 mg 群とプラセボ群とで -73.7 パーセントポイント(95% CI -94.6~-52.8),50 mg 群とプラセボ群とで -65.5 パーセントポイント(95% CI -82.6~-48.3)であった.53 週までに,急性膵炎エピソードはプラセボ群で 11 件,各オレザルセン群で 1 件発生した(率比 [オレザルセン統合群 対 プラセボ群] 0.12,95% CI 0.02~0.66).試験実施施設の試験担当医師により試験薬またはプラセボに関連すると判断された中等度の有害事象が,オレザルセン 80 mg 群の 4 例に発現した.

結 論

家族性高カイロミクロン血症症候群患者において,オレザルセンは,血漿トリグリセリド値を低下させるための新たな治療法となる可能性がある.(アイオニス ファーマシューティカルズ社から研究助成を受けた.Balance 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04568434)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2024; 390 : 1781 - 92. )